2話 ページ2
家にいれてみたはいいものの……。
猫なんて飼ったことないから、何をすればいいか検討もつかない。
よし、スマホで検索するか。
え、流石の俺もスマホくらいは持ってるよ?
「猫 拾った 餌……っと」
三毛猫と少し距離をおいたままいくつかの記事を読んだ。
とりあえず、飲み水を与えるといいらしい。
「水、水……」
猫の鼻がぶつからないような浅い皿を選んで水を注いだ。
「ほら、水ですよ」
三毛猫は警戒するようにこちらをじっと見ている。
まあ、見ず知らずの人間の前で安心して食べ物を食べられるわけないよな。
……それにしても、なかなか飲もうとしない。
「……そうだ」
その瞬間ひらめいたアイデア。
同じ水を自分も飲めば、この子も飲んでくれるんじゃないだろうか。
コップに水を注いで、猫の目の前で飲んだ。
……安心したのか、猫はぴちゃぴちゃと音をたてながら水を飲み出した。
「やった……!」
生き物を育てる楽しさ……いわゆる母性が、自分の中でたった今、揺さぶられていることがわかった。
これなら夢野先生、にゃんこも楽々育てられるんじゃないかな☆
と、舞い上がったところで我に帰った。
餌が、ない。
何をあげれば栄養になるんだろう……。
よく分からない。牛乳?魚?野菜?
キャットフードなんて家にないし。
「あ、帝統に買ってこさせよう」
『帝統、キャットフード買ってからうちに来て』
メッセージを送ると、すぐに返事が来た。
『なぜ?』
短文……。
帝統の短文にちょっと戸惑いつつも、答えた。
『家の前に猫が捨ててあった。
何をあげればいいか分からないから、とりあえず買って。
あと、今日の晩ご飯はサバの味噌煮です』
『マジか!!??
お安い御用だぜ、すぐ行く』
帝統のフットワークの軽さ、異常だな。
スマホを眺めていると、横から猫が顔を擦り付けて来た。
スリスリ、スリスリ……。
癒される……!
こんなもふもふが執筆中に膝に乗ってきたら、絶対に集中できないな。
恐るべし、三毛猫。
……三毛猫って、よそよそしいな。
名前をつけよう。
タマにミケ、あえてのポチもありか。
いや、やめておこう。
初めて見た時から決めていた。
じっと見つめてくる、あの大きな瞳。
「名前、ひとみでどうですか?」
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作者名:丸山夕 | 作成日時:2019年10月14日 23時