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熱い。火が近くまでまわっているのだろうか？それとも爆破を受けたからか。
体の中が熱い。喉も肺も焼けるように痛い。否、実際焼けている。
視界がぼやけてうまく周りの状況を確認はできないが、いつもの綺麗な自然の緑と真逆の真っ赤な世界であることはわかる。
熱い。体が思うように動かない。ここはどこだろう。熱い。痛くて怖くて、早くこの苦痛から逃れたくて。
この村は人魚村と呼ばれている。
人魚の血肉を喰らうと永遠の命を手にできる、とか。
永遠なんかいらない。そんなに長生きもしたくないし。大事な人をたくさん看取らないといけないでしょう？そんなの死にたくて仕方なくなってしまいそうで、私は人魚が怖い。
「ろぼ、」
「ごめん、待たせて」
聞き慣れた声がした。触れられてところが悲鳴を上げたくなるほど痛むが歯を食いしばる。きてくれた、と安心すると同時に自分はもう助からないともなんとなく感じている。あんなに煙を吸って内臓を焼いて、生き延びても後遺症が恐ろしくてたまらない。
「ごめん、ほんまごめんなぁ、A」
「ちが……、ロボロはわるくな、い」
少し話すだけで喉が痛くて痛くて痛くて痛くて痛くて痛くて痛くて痛くて痛くて早く終わってしまいたくて。咽出た咳は血が混じっていて苦しくて。
ロボロが助けに来てくれたのに、命をかけて私との約束のために助けてくれたのに。こんなにも命を手放したいと思ってしまう自分が嫌いだ。
未だに空爆は止まらないどころか加速している。先程より爆発の間隔が短くなっている気もする。煙で前はほとんど見えない。このままではロボロも巻き込まれてしまう。そう思った時、目の前に爆弾が落とされた。
「いﾞ………！！！」
ロボロの必死に痛みを堪える声。私は声を出すことすら忘れてロボロと飛ばされる。
火の海とはなんとも的確な言葉だと思う。それとオアシスという言葉もまあ、なかなかにいい響きだと思う。
私たちの目の前には人魚の泉があった。
「はは……、Aは人魚とか信じてないんやったっけ」
「……いないよ、そんなの」
永遠の命があるはずなのに、本当に永遠の命を持っている人なんて見たことも聞いたこともない。集団幻覚でしかない。
「なあ……ほんまに人魚いたらさ、どうする？」
「昔もそのはなししてた、ね」
「あの頃なんて言ったっけ、友達になる、やったっけ」
「ん、おぼえてんじゃん」
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作者名：絆創膏 | 作成日時：2023年10月30日 21時
