短編集【実ｼ兄者】 (ページ4)

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歯　shr ページ4

シャークんさんのお話です。
現パロ

「ギザ歯いいな」

ぽつりと出た言葉。あー、と大きな口を開けてご飯を食べようとしていたシャークんの手が止まり静かに口が閉じる。それはまるでセクハラ発言をされたOLのような反応だった。

「…………キモ」
「しゃーけん？！」

出た言葉はあまりに直球で、レンガで頭を殴られたような気がした。暴行罪。
時は幕末。ではなくただなんでもない昼下がりのカフェ。ラブラブ♡カップルの私達はおされなカフェで優雅な昼食を楽しんでいる。

「食べてる時そんな顔ジロジロ見んなよ」
「私もう食べ終わっちゃって暇で…」
「はぁ〜？……スマホでも見てたら？」
「デート終わりの電池残量がデートの点数らしいよ」
「ふうん」

興味なさげ。点数はどうでもいいのだろうか。スマホと彼氏どっちを見るかなんて分かりきったこと、当たり前に私はシャークんの顔をジロジロと見ている。相手が嫌な顔をするレベルで見ている。
とは言え直々に「キモ」「見んな」のダブルパンチを喰らったので大人しく提案通りスマホを見ることにしよう。私はできる彼女なのだ。

バッグからスマホを取り出し念仏でも暗記しようとしたところでひょいとスマホを取られる。

「念仏？」
「いやなにとってんの」

ぶつぶつ言いながら念仏を眺めるシャークん。どうやらすぐには返してくれないらしい。このままでは私のpi○ivやら写真やら覗かれてしまうので早いところ返してほしい。

「なに？念仏に嫉妬してんの？」
「は？点数がどうとか言ってたじゃん」

ん、と電源の切られたスマホを返される。結構気にしているようだ。おまけに念仏に嫉妬していたことも否定しないあたり、多分いい彼氏なのだろう。

「次からモバ充もってくる？」
「めちゃめちゃ点数気にしてんじゃん。アイス早く食べないと貰うよ」

とかいいつつ一口貰った(奪った)アイスはいつにも増して甘かった。