信じる？ rd ページ22
らっだぁさんのお話です
「ム、これはいい人外…」
「Aも人に言えないくらい人外好きだよね」
「らだの丸呑みとかは意味わからんけどそれ以外は私も好きなんで…」
「ア？丸呑みはいいでしょ！！」
放課後、いつものようにAとらだおは空き教室に集まって「運営同好会」の活動に勤しんでいた。……厳密に言えば何もしていないが。
二人とも特段部活動に対する意識は高くなかったので何もしないことに一切の抵抗はなかった。そもそもこの同好会も非公認だ。ただなんとなく、放課後も一緒に過ごしたくてできただけのものである。
「……あれらだ、もうこんな暗くなってるよ」
「んー？ほんとだ。でもまだ5時だよ」
「曇ってる？傘ないんだけど」
「んはは、おれは持ってるんだよね」
ふと窓に目を向けたAは外が暗いことに気付いた。季節は春になり、すっかり日も長くなっている。それなのにこの暗さに違和感を覚えた。
雨が降るのであればきっと大雨になるであろう暗さ、二人は雨が強くなる前に帰ろうと昇降口へ向かった。
「天気予報晴れだったんだよ？」
「いーや甘いね、おれは先を見据えてる」
「入れっぱなしなだけでしょ」
「んははは、まあ結果だから」
お互いつつき合いながらこつこつと下履きを鳴らす。二人だけの音が廊下を反響して鳴り響き、誰もいない学校というだけで気分が上がる。きっと背徳感に近いものだろう。
三階から二階に階段を降りる。見慣れた張り紙とすれ違いながら軽い足取りで階段を二段飛ばしで掛け下がる。
二階から一階へ階段を降りる。外は暗いと言うより真っ黒で、多分ここでもっと違和感を持つべきだった。
一階に着いた。はずだった。そこはどう見ても二階で、さっきいた場所も二階で。強く違和感を持ったAはらだおの顔をこっそりと伺うと彼もまた目をひそめ違和感を感じているようだった。
「ね、おかしくない？」
「うーん…ありゃ、また二階だ」
「見間違いじゃなかったんだ…」
それでも足を止めることはなく取り敢えずと言った形でひたすら降り続ける。それでも変わらない二階の風景。二人は少し考えた後登ってみたり、別の階段や隣の棟、非常階段も使ってみたが変わらず行き着く先は二階だった。
「らだ、ホラー得意だよね」
「いや得意ではない、リアルホラーは聞いてない」
「もう飛び降りるしか解決法がないよ」
「永久に空中で閉じ込められるかも」
「なんで怖いこと言うの」
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作者名：絆創膏 | 作成日時：2023年10月30日 21時
