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たったの一日、手を繋いだだけなのに大きすぎる寂しい感情。やっぱり好きなものは好きで、恋人という名前のつくような、相手にとっても自分にとっても特別な関係になりたかった。
「恋人のフリって、もうおしまいかな」
寂しさを紛らわせるように笑みを浮かべてAは言った。沢山思い描いたオスマンと過ごす日々は再び果てしなく遠いものとなってしまったのだ。
「じゃー帰ろっか！あ、私食べたいものが───」
「っ、A」
背中を向け足を進めようとしたAの手をオスマンはぱしりと掴んだ。それに驚いたAはえ、とかわ、とか言葉にならない単語をこぼす。
「その、俺の勘違いやったらごめん。ちょっと聞いてくれへん？」
いつもはふわふわとした表情をしているオスマンとは打って変わり、いつになく真剣な表情を浮かべていた。Aはそれに直ぐ気付きオスマンの方へ向き直る。
「……Aもしかして俺のこと…、いやこの聞き方はずるいか。ん、その、俺…」
「うん」
いつも流暢にふわふわと話すオスマンが珍しく言葉を詰まらせる。聞いてるよ、と言うようにAは優しく返事をする。Aだってここまで鈍感ではない。なんとなく二人は気付いていた。それもずっと前から。
勘違いだったら恥ずかしい！
これは恋愛でなくとも共通する感情。なんとなく感じる好意が恋愛感情でなかったと知ったら、勘違いしてしまった自分の浅はかさに死にたくなるほど恥ずかしくなってしまう。二人は今の関係が崩れることを恐れて踏み込めていなかった。
「俺、Aのことが好きやねん、ずっと、前から」
オスマンは俯き表情を隠す。かっこつかへんなと小さく呟き静かにAの返事を待つ。
「……わ、私もマンちゃんのこと、好きだよ
もちろんその、異性として…で、」
どんどんと小さくなる声。聞こえなくなってしまう前にオスマンはAの手を優しく握った。突然のことで驚いたAは思わずオスマンの顔を見て、ふにゃりと笑った。
「えへ、マンちゃんのそんな顔初めて見た」
「ばか、Aにしか見せへん」
オスマンは嬉しさやら羞恥やらで赤く染まった頬を隠すそぶりもなくただ泣きそうな顔でAを見つめていた。Aはそんなオスマンを泣かないでと自身の肩に
「……何？結局付き合ったの？」
翌日、二人の親友であるひとらんにことの経緯を再び話したところ呆れたようにため息をつきつつ、とにかくおめでとうと祝福をした。
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作者名：絆創膏 | 作成日時：2023年10月30日 21時
