68.誠実でイイ男 ページ22
クリスマス当日は相葉さんと買い出しだった。
一人で準備するのも大変だろうってわざわざ早めに家の近くまで来てくれる事になったのだ。
私が家を出る時、カズはまだ寝ていたけどちゃんと起きてるかなぁ。
みんなを迎え入れる準備くらいしてくれてるといいけど。
「Aちゃん、あと何か買うものあったっけ？」
「えーっと…もう大丈夫かな！お酒は各自で持ってきてって言ってあるし」
「よし。じゃああとはケーキだね」
スーパーの袋を両手に持った相葉さんは張り切った様子。もうケーキの予約はしてくれてるみたいだけど…どこのお店だろう。
「近くなの？お店」
「１０分くらい歩いたとこかな」
「１０分……」
なんとなく。そんな気はしていたけど。
「シリウスってお店。Aちゃん知ってる？」
この辺りのケーキ屋はウチしか無い。
それにしても…どうして相葉さんが知ってるんだろう
「相葉さん、私、そこで働いてる(笑)」
「え！？マジ！？なんで！？」
「なんでって(笑)相葉さんに言ってなかったっけ？」
「カフェで働いてるとは聞いてたけど…まさかあそこだったなんて」
「相葉さん、よく行くの？」
だったら会ってるはずなんだけど。
「いやいや、この間ほら、Aちゃんをマンションの下まで送ってった日。あの帰りにちょっと…ね」
「そうなんだ……… あっ！」
「え？なに？」
「"誠実でイイ男"！」
「なんだよ急に〜！恥ずかしいって！」
「潤くんがそう言ってたの。相葉さん、紅茶の試作に付き合ってくれたんでしょう？」
「や…俺は出してもらった紅茶をただ美味しく飲んでただけなんだけどね」
「すごく相葉さんのこと気に入ってたよ、潤くん」
「えー…なんか照れるな…」
誠実でイイ男……うん。
潤くんの目は間違ってない。
誰からも好かれる相葉さんはやっぱり素敵だと思う。
だけど…。
「じゃあ行こっか、松本さん驚かしに(笑)」
「あ、うん…」
相葉さんの好意に私は応えることが出来ないんだ。
それを早く……伝えなければならないのに。
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作者名：ミト
| 作成日時：2019年11月23日 15時
