#3 一等星のカノジョ【ars.K.N】 (ページ19)

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65.アタック出来ない原因ページ19

クリスマスパーティーの予定が無ければカズと二人で過ごせていた。

なんて後悔したってもう遅いし、何より提案してくれた相葉さんに失礼だ。

今年はみんなで楽しく過ごす。きっと、いや絶対、素敵なクリスマスになる。

「こうして二人で会うの久しぶりじゃない？」

食前にと頼んだアイスティーを口にした後、ヒトミはニヤけるように口角を上げ続けた。

「聞きたい事が山ほど溜まってるんだからねぇ～？」

真っ白なタートルネックのセーターに、真っ赤なルージュ。顔立ちがハッキリしているヒトミにすごく似合っていた。

「ヒトミ、今日はクリスマス仕様だね？」
「もう三日後だもん。気分高めていかなきゃ！それにしても…この店暑くない？」
「冬の店内って暖房効き過ぎだよね。私もアイスにすれば良かった」

温かい紅茶に砂糖を一つ入れて、スプーンでくるくると溶かしていく。

その様子をじっと眺めていると「カズと上手くやってる？」とヒトミの声が耳に届いた。

「えっ？あー…カズ？うん、なんとか上手く」
「それは同居人としてでしょ？恋の方はどーなのよ」
「恋……アハハ」
「ごまかすなーっ」

正直、クリスマスに「一緒に居て」と言われて、脈がない事は無い。と思ってる。

だけどなんというか…恋仲になれるにはまだまだって感じがして…。

「会社でね？カズがたまにAの話をする事があるの」
「私の話？」
「そう。…あ、大した事じゃないんだけどね？"アイツのせいでソファで寝た"とか」
「あぁ……」
「その時のカズがさぁ～これまた優しい顔してるのよね。だから、あぁ～Aとの生活充実してるんだなぁって」
「そ、うなのかな…」
「うん。自信持っていいと思う」

自信。

それは相手も私と同じ気持ちでいてくれているという…自信？

「私はまだそんな…自信なんて…」
「これはあくまで私の感じた事よ。強引に自信を持てなんて言わないわ。……だけど、ね？」

ヒトミは少し前のめりになって、私の目を強く見つめた。

「私のこの言葉を信じてアタックしてみるのも…アリだと思うよ」
「い、いやいや…まだそんな…」
「両想いだって確信がつくまで待ってるつもり？仮にカズの気持ちがAに向き始めていたとしても、そのまま両想いになれるとは限らないのよ？人の気持ちなんてどう転ぶか分からな……ゴメン、熱くなりすぎね、私」

いや、ヒトミの言う事はよく分かる。
ただ私は……
告白のタイミングってやつを知らないだけだ。