#2 一等星のカノジョ【ars K.N】 (ページ13)

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39.「綺麗だよ」ページ13

リナさんの出番が終わって、私はカメラの前に立った

こんなド素人の手首に飾るのが申し訳ないくらい美しく輝くブレスレット

スカートのポケットに手を入れてみたり、手首をおへその辺りまで持ってきたり、

手元だけの撮影とはいえ、それなりにポージングを要求された

小さなスタジオではあったけど、近くでカズやリナさん、他数名のスタッフに見られながらの撮影は顔から火が出るほど恥ずかしいものだった

ようやく最後の一枚を取り終えて撤退の雰囲気が流れた時、カメラマンは思い付いたように手を鳴らした

「そうだ！二宮くんリナちゃん、ちょっと！」

誘われた二人がカメラの前に立つと、カメラマンはリナさんにブレスレットを渡した

「二人で手繋いでみて？その手元撮りたいから」

意気揚々とカメラを構えるその人とは裏腹に、至って冷静な面持ちのカズはポリポリと頭を掻いた

「あー…なら彼女相手でもいいですか？」
「彼女？二宮くんがそうしたいなら別にいいけど」
「ありがとうございます。…ほら、Aこいよ」

差し伸べられたカズの手

その背後でリナさんがものすごーく不機嫌な顔をしている。来るな、ってそんな顔してる

「いや、私なんかじゃきっと酷い画になると……」
「お前を選んだのは俺だ。何かあったら俺が責任取ってやるよ」

何……今のイケメン発言
だいたい、カズだって素人じゃない

確かに顔の偏差値は高い方だとは思うけどでもあまりにも上から目線…

「早くしろよ、時間なくなる」
「あっはい……」

結局言われるがままリナさんの位置に私は立った
カメラを向けられると再び緊張が走る

「…大丈夫。手も顔も心も、全部お前の方が綺麗だよ」
「え………」

「二人共お疲れ様！いいのが撮れた！撤収ー！」

耳元に落ちたカズの言葉に気を取られている間に、撮影は終わってしまった

さっきのは…私の緊張をほぐす為のもの？

"綺麗だよ"なんて、カズらしくないしそもそもそんな甘い関係でもないし……変なの

・

「これを機にモデルやってみようなんて冗談でも思わないでね」

撤収作業が行われている中、リナさんはツンとした態度で私の前に立った

こちらは二度と関わりたくないと思っていたとこなのに

「そんなこと思ってません。今日はありがとうございました。失礼します」
「待ちなさいよ。あなた二宮さんの何？彼女？」

あぁもう、面倒くさい…