プリムラ 3 (ページ6)

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お前のことが好きな n.r ページ6

中村嶺亜

「克樹」
「れーあ？」

いい加減治らないかな、その伸ばし棒。

俺はどちらかといえばカワイイ系のアイドルだ。姫の子たちへの「愛してる」やカメラワークでのアピールも余裕。
「可愛い」とか「あざとい」って言われるのも正直慣れっ子だ。別にそれに男だし！とか思わないし、素直に褒められるのは嬉しい。

なのだが、

此奴は違う。此奴は「あざとさが滲み出ちゃった」って感じの行動が多い。

最近ファンの人にもよく言われている。

大光と話してる時だって上目遣い。まあでもそれは好きな相手だし、大光の方が少しだけ背が高いからまだあれだけど、俺らにもしてくる。

「克樹ってあざといよね」
「それやばなにも言われた」

なんて言いながらもぐもぐとドーナツを食べている。両手でドーナツ持つことなんてある？

「お前さ、そうやって男に色目使うのやめろよ」
「使ってない！！」

そんな舌っ足らずな話し方じゃ、全く説得力ないんですけど……。

「おれ別に男に色目とか使ってないもん……。」

そういうとこだよ。克樹って頭いいくせにそういうとこは鈍いって言うか、学ばないって言うか……

「いや使ってるね。男子校でも襲われたことくらいあるだろ」
「うっ…そんなの無いよ、屋上でキスされたことはあるけど」

って、あんま聞きたくないこと聞いちゃったな。俺はちょっと嫌な気持ちになってるのに、嫌な気持ちにさせた克樹は呑気にドーナツを食べ続けている。

「別に、今は大光と付き合ってるし……俺は他の男に興味無いもん。」

なんだよ。つまんな。

「あーそうですか。」
「何その言い方〜。」

お前のその言い方もなんだよ。どうしてそんな可愛いの。どうして、どうして俺に無理だって、諦めろって思わせてくれないの。そんな可愛い顔見せられたらさ、止まんねーよ。

「つか早く大光のとこ行きなよ。お前の大好きな大光くん待ってるかもよ？」

「あ、そっか。大光とお昼食べるからこれで終わりにしなきゃっ」

ねえ大光。

お前のことが好きな克樹、すっごい可愛いね。

　