プリムラ 3 (ページ5)

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可愛い s.t ページ5

佐々木大光

「大光起きて！はやく！」
さっきまでの甘い時間は無かったかのように、突然耳元で叫ばれる。

「うおっ」
「あ、起きたっ？！」

寝たフリしてたからお前が俺にちゅっちゅしてる時も起きてたんだけどね〜。でもこんなキラキラした目をされたら、冗談っぽくも言えなくて。
今起きましたって感じでわざとらしく欠伸とかをしながら、机に置いてたペットボトルたちを鞄に入れ克樹と外に出る。

「なんか久しぶりだね、大光とふたりで遊ぶの。」
「そうだな。俺も舞台あるし克樹も色々テレビ出てるし……」

ご飯屋さんまでの道をふたりで喋りながら歩いている。克樹の話はつまらない時と面白い時の差が激しくて、それがおかしくて笑っちゃう。

「あ！」
「どうしたの？」
「ふたりで遊ぶじゃないか、デートか」

あとこうやって無意識ぶりっ子で無駄にこっちだけドキドキさせられる。
なんだその手は、両頬に添えられたその手はなんだ。

「俺らって両想いなんだよね〜」
「まあ、克樹がどう思ってるかは知らないけどそうなりますね……。」
「そっか。」

聞いてきた割には素っ気ないのかよ。でも、耳は赤くて。やっぱりそういうところを見ちゃうと、ずっとずっと俺が守ってあげなきゃなんて思っちゃう。

こうやって無意識の可愛さに振り回されるのだって本当は全然嫌じゃない。

なんでこんなに可愛いんだろう。

俺のことを好きじゃない克樹だって別に可愛いところはあった。いけ好かない奴だなんて思ってた頃もあったけど、それでも昔から可愛いところはあった。
俺と違って楽しそうに笑いながら踊る克樹を後ろからずっと見てた。

でも、俺を好きな克樹の方が何倍も何十倍も何百倍も何全倍も可愛い。

「克樹」
「なあに？」
「……なんでもない。名前呼びたかっただけ。」
「え〜大光変なの〜」

ああやっぱ今日の克樹のことは俺だけの秘密にしよ。

　