プリムラ 3 (ページ13)

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知ってる y.r ページ13

矢花黎

知ってる。俺はだかさんに好かれていることを知っている。

他の人間より信頼されてることも知っている。心を許されているというか、俺にしか見せない顔があるのを知っている。

知ってたけど……

ここは自室。俺は今とてもそわそわしている。何故ならイケメンが俺のベッドで寝ているから。なんでイケメンが寝ているか？それは分からない。いや、ご飯屋さんで倒れてここで休んでることはわかっている。俺が分からないのはそんなことじゃない。なんで俺の部屋を選んだんだということだ。

記憶を辿ると、だかさんは今日大光とデートのはずだ。だかさんが5歳児みたいなきらきらした笑顔で「たいこうとデートするの！」なんて言っていたのを思い出す。めっちゃ平仮名で。

だかさんに〇〇に来てと言われて、着いたら知らない男性たちから「かつきのこと頼んでいいですか……？」と言われ、なんやねんこの状況と思いながらもはいと答えてしまい今に至る。

自分がしていた作業が終わり、ベッドで眠ろうとしたらだかさんがいた。忘れていた。焦った。顔を見た。かっこよかった。赤ちゃんみたいな寝息だった。

だかさん見ると、IQ100くらい落ちたんかってくらい知能が無くなる。だってなに今の感想。小並感もクソもない。

ベッドに目を向けると、天使が寝ている(これは大光の真似)。

勝手に見てしまったスケジュール帳は真っ黒で、多分寝ていなかったんだろう。でもそんな感じはなかったし、ぼーっとしてることはあったけどそれは大光を見てただけだし……

ってなんだよ、クソリア充め。俺にもその視線をくださいよ。

「……ん、ぅ …… 」
「あ、だかさん。大丈夫すか？」

赤子のように目をぱちぱちさせてベッドに置いてあった俺の手を掴んでまた目を閉じる。

あーあ、本当に。そういうとこっすよね。

夢なんか見るから苦しくなる。
わかってる。

今だってただ寝ぼけて俺の手を掴んだだけ、わかってる。

でも、でも、それでも。
倒れてしんどい時に、大光じゃなくて俺を頼ってくれたのは事実でしょ？

どうしてだかさんはそんなことするんですか。
俺に夢ばっか見させて。

だけど、

あなたに振り回されるのは悪くないと思ってしまう。

「だかさん、好きです。」

指だから、許してください。

　