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１４曲目 ページ14

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「ぅおーし、終わったぜぇー！」


イスの上で、グーっと両腕を伸ばす。

作業部屋には時計を置かない主義。

だから今が何時か全くわからない。

切っていた携帯の電源を入れる。


「・・・ぅお、こんな時間。」


どうりで腹が減るわけだ。


「・・・あいつも腹空かしてんだろな。」


部屋を出てリビングに向かう。


リビングを開けると、ソファーの周りを

ウロウロする「黒」がいた。


「・・・・何やってんの？」


ピタっと動きが止まり

ゆっくりこちらに振り向くのだが。

・・・やはりフードで目が隠れている。


黒『あの・・・。

・・・ここはどこ？？』


「俺んち。」


黒『何でここに？』


「お前が倒れたから。」


黒『あぁ・・・またやったか。』


「何？いつも倒れんの？」


黒『疲れると。』


「へぇ。

じゃあ、こういう事も良くあんの？」


黒『こういうって？』


「倒れて、目が覚めたら

知らない男の家だったとか。」


黒『知ってる。』


「へ？」


黒『だから、知ってるの。』


「何を。」


黒『あんたの事。』


「何で。」


黒『いつも駅にいるから。』


「・・・あぁ。」


黒『１人だけ、いつも黙って座って

どこにも行かずに人を見てる。』


「・・・まぁな。

・・・で？質問に答えろよ。」


黒『ん？』


「いや、ん？じゃなくて。

いつも倒れた時はどうしてんの？って。」


黒『弟が迎えに来るから。』


「え、じゃあ昨日も来たんじゃねぇ？」


黒『居なくて探したって。

さっき電話きた。

・・・あ。帰らなきゃ。』


「どうやって帰るんだよ。

てか、お前どこ住んでんだよ。」


黒『んと、板橋区。』


「そりゃ、遠いなぁ。」


黒『ここ、どこ。』


「八王子方面？」


黒『・・・ってどこ』


「２３区外。」


黒『って、遠い？』


「結構。」


黒『ん〜。』


「泊まれば？」


黒『弟待ってるから。』


「いいじゃんそんなん。」


黒『いくない。』


「あそ。んじゃ帰れば。」


黒『うん。ありがと。』







なんだか奇妙なやりとりをし

結局「黒」は部屋を出ていった。



「・・・・イライラする。」


ベランダに出て、煙草を吸う。


「・・・別に、気にならねぇし。

親切にしてやったのに帰る方が悪い。」


でも目線は下を向き、「黒」が

自分の視界に入る事を期待してる。


「・・・あ。いた。」


トボトボ音が聞こえる様に歩く「黒」を見て

自分の僅かな良心が音を立てる。


...しょうがねぇな。

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遙奏(プロフ) - 嵐軌龍 愛知さん» ありがとうございます！どうか、温かい目で見守っていただけると嬉しいです。どうぞ、これからもよろしくお願いします☆ (2013年6月11日 18時) (レス) id: bac5a87187 (このIDを非表示/違反報告)
 嵐軌龍 愛知(プロフ) - すっごく面白いですね！次章期待してます！！！ (2013年6月11日 15時) (レス) id: 4a97d6072e (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時：2013年4月9日 0時

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