説教 ページ10
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「おい、Aが嫌がってんだろ。やめろよ」
ペチン。
宿儺の口を抑えるように叩いた悠仁に、自分の体の中に張り巡らせた呪力が拡散されていくのがわかる。
呪いの王相手に喧嘩売ろうとしていた俺も俺だが、幼い子を叱るようにした悠仁も悠仁だ。
ああ、段々冷静になってきた。なんであんな事したんだろう。宿儺にそんな事したなんて、今にも細切れにされてもおかしくない。
何より、悠仁に守られてしまった。
彼奴は死刑宣告を受けていて、きっとこれから色んな奴に命を狙われるのだろうに、俺が守らなきゃいけないのに。
善が悪の為に散るなんてあってはならないのだから。
「クク、良い良い。今の俺は気分が良いからな、今の事も不問にしてやろう。オマエを殺すのは最後だ、小僧の仲間を殺し尽くした後、ゆっくりとオマエを嬲るとしよう」
「あっまた!そんな事させねーからな!」
「愉快な体になったねぇ」
頬を叩いた手に再び現れた宿儺の口。
何やら気分が良いようだったから、命を散らすのは免れた。でも、呪いの王がいい気分になる事なんて絶対良くない事だと思う。更に最後に殺されるらしい。怖い。
呑気に呟いた五条さんが、俺の名前を呼ぶ。
「A」
『イテッ…』
同時に、頭に少しの衝撃。反射で瞬間的に目を閉じる。
俺に軽い手刀を落とした五条さんは、いつものおちゃらけた雰囲気はなりを潜めて真剣だった。
もしかしなくても、怒られている。
『…スンマセン』
「宜しい。宿儺に喧嘩売るなんて、命知らずにも程があるよ。戦力の差をちゃんと見極める、わかった?」
『ハイ』
「よし。じゃあ面談の時間だよ〜!最初は悠仁、次にAね!悠仁、行くよ〜」
「うす!」
面談は一対一らしく、悠仁を連れて五条さんは去っていった。ここで待機していてと指定された場所で、一人五条さんにうたれた頭の箇所を触る。
なんというか、あの人はヘラヘラしてるし正直手放しで尊敬できる人ではない。それでも、まだ少し痛むおでこが宿儺の器のおまけでなく、虎杖Aとして扱ってくれているのを主張している。緩む口角を誤魔化すように唇を噛む。
あの人もちょっとは教師らしい所がある…らしい。
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てふ(プロフ) - しゃけさん» ありがとうございます。結構尖った作品なので不安でしたが、好きになって貰えてとても嬉しいです! (9月8日 3時) (レス) id: cfa7e5adb6 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ - こんなにドストライクな作品初めてみました。とても好きです。 (9月7日 23時) (レス) @page24 id: a0f7c3b137 (このIDを非表示/違反報告)
てふ(プロフ) - 柴イヌさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えれるよう頑張ります! (8月21日 12時) (レス) @page21 id: cfa7e5adb6 (このIDを非表示/違反報告)
柴イヌ - めっちゃ面白いです!続きが待ち遠しいです。作者様のペースで次回作待ってます! (8月21日 9時) (レス) @page21 id: a0f7c3b137 (このIDを非表示/違反報告)
ちと(プロフ) - へいさん» お返事遅れて申し訳ありません。大変嬉しいお言葉ありがとうございます! (2022年10月21日 1時) (レス) id: 20c14f813d (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2022年8月31日 19時