魅入 ページ9
.
｢とりあえず二人は学長と面談ね｣
下手打つと入学拒否られるから気張ってね、と付け加えた五条さんに驚き突っ込む悠仁を横目に溜息をつく。
あの後突如現れた病院で会った黒い人(包帯装着)に、お前らは呪術師の学校に転入するんだ、と一方的に言われあれやこれやと東京に連れていかれた。
新幹線に興奮する悠仁を静めつつ、何気に初めての駅弁を携帯に収め、その様子を見ていた五条さんに揶揄われ。
そうしてやってきた呪術高専。
門も潜りいざ、という所で先程の話に戻る。
『…そもそも、俺は』
｢なんだ、貴様が頭ではないのか｣
なんでもない声量だと言うのに、一瞬でその場を制したように暗く重い声が響く。俺の言葉など簡単に飲み込んだ。
この重圧は、あの時と同じだ。悠仁が宿儺の指を飲み込んだときの。
まるで悠仁が悪に堕ちたように感じるあの重圧は、嫌いで怖くて、手が震える。あいにく宿儺は五条さんを敵視しているようで、こちらには一切触れない。
少しだけホッとした。
｢貴様には借りがあるからな、小僧の体モノにしたら真っ先に殺してやる。…いや待て、おい、そこの小僧｣
『…ぁ、俺？』
ホッとしたのも束の間で、懸命に地獄は待ち構えていた。
状況的に宿儺が指している人物は俺しかいない。恐れていた出来事が起こって、思わず声が上擦った。
俺を指名したきり宿儺は喋らない。
今の宿儺に目がなくて本当に良かった。もし目などあったら、例えそれが悠仁のものでなくともそれが悠仁から発せられる俺を舐めずさりする冷たい視線など耐えきれない。
やがて、宿儺は思い出したかのようにゲラゲラと笑い始めた。
｢オマエ、気持ち悪いな。周りに渦巻いているソレは…嗚呼、成程！オマエは…｣
『ッ…』
ああ、ダメだ、それだけはダメだ。
ソレを悠仁に知られたら、俺はきっと嫌われてしまう。
悠仁にソレを告げる奴を許さない、許せない。例えそれが呪いの王でも。
不思議と先程まで抱いていた宿儺に対する恐怖はなくなった。悠仁に嫌われる恐怖の方が大きいのだから当たり前なのかもしれない。
術式を編む。五条さんが制止するようにこちらをみている様な気がしたが、それで止めは出来なかった。
きっと返り討ちされる。頭では理解してる。
ここで命を散らす可能性だってある。
それでも、悠仁に知られるくらいならいっそ死んでソレから離れてもらうほうがきっといい。
悠仁の中に巣食うソイツに標準を合わせて…＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1410人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
てふ(プロフ) - しゃけさん» ありがとうございます。結構尖った作品なので不安でしたが、好きになって貰えてとても嬉しいです！ (9月8日 3時) (
レス) id: cfa7e5adb6 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ - こんなにドストライクな作品初めてみました。とても好きです。 (9月7日 23時) (レス) @page24 id: a0f7c3b137 (このIDを非表示/違反報告)
てふ(プロフ) - 柴イヌさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えれるよう頑張ります！ (8月21日 12時) (レス) @page21 id: cfa7e5adb6 (このIDを非表示/違反報告)
柴イヌ - めっちゃ面白いです！続きが待ち遠しいです。作者様のペースで次回作待ってます！ (8月21日 9時) (レス) @page21 id: a0f7c3b137 (このIDを非表示/違反報告)
ちと(プロフ) - へいさん» お返事遅れて申し訳ありません。大変嬉しいお言葉ありがとうございます！ (2022年10月21日 1時) (レス) id: 20c14f813d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2022年8月31日 19時
