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瑕疵 ページ28

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「やっぱりだ。退屈だよ、伏黒」


ツゥと涙を流し始め、殺気を出してきた東堂に目を剥く。
警戒を解かなかった俺達に一方的に自己紹介をし、無理矢理伏黒の好みのタイプを聞いた途端コレだ。控えめにいって頭イカれてんのかよ。
伏黒を自身の腕力で弾き飛ばした東堂を追おうと駆けようとしたところで裾を掴まれる。


『…なんすか』
「やだ、伏黒君の後追いたい気持ちは分かるけど落ち着いて。ちょっと聞きたいことがあるだけなんだから」


薄ら笑って距離を詰められる。
裾を掴む手はそのままに、俺を引き寄せ肩に顔を乗せるように近づいた先輩が耳に柔らかく語りかけた。


「どうして怒ったの?」
『…何の話ですか』
「私が宿儺の器について喋ったときよ。あんなに殺気立つんだもの、震え上がっちゃいそうだったわ」


どうして怒るかって、当たり前だろ。
悠仁は俺の片割れで、呪術師になったのだってアイツが理由だ。悠仁の死を泣けなかったのだって、まだいまいち腑に落ちないとはいえ五条先生に何故を教えてもらった。それを侮辱されて、怒らない訳が。


「だってA君、宿儺の器が死んでホッとしてるじゃない」


呼吸が止まる。


「私には分かるわ、だって似た者同士だもの。どんなに取り繕っても目を見れば一目瞭然よ。隠しきれてないの、その安堵が」


喉が引き攣る。


「ねえ、もう一度聞くわ。死んでせいせいしたんじゃない?」


頭が痛い。平衡感覚が失われていく。汗が止まらない。呼吸をしようとして失敗する。それに焦って呼吸の間隔が短くなっていく。息が難しくて沢山空気を吸おうとする。失敗する。視界が回る。吐き気が込み上げる。慌てて口を手で抑えて、


「京都校の人間って趣味の悪い質問しかしないワケ?人間性が見て知れるわね」
「…何?」
「真希さんに似てるって思ったけど全然だわ。真希さんの方が百倍美人。寝不足か?それとも肌って性格の悪さに比例するのかしら。毛穴開いてんぞ」


バシッと肩を叩かれて意識が戻る。俺と先輩の間に割り込んだ釘崎は、こちらを見ずに言い放った。


「伏黒の方行け。コイツは私がシメる」
『…わかった。悪い』


正直さっきのことは処理しきれていない。きっと考えたら俺は立てなくなってしまう。だから今は考えない。釘崎に喝を入れて貰ったのならそれには応えなくてはいけない。後で全部整理つけるから、今だけは目を瞑っていよう。

自販機の横を、走り抜けた。

流俗→←敵愾



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てふ(プロフ) - しゃけさん» ありがとうございます。結構尖った作品なので不安でしたが、好きになって貰えてとても嬉しいです! (9月8日 3時) (レス) id: cfa7e5adb6 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ - こんなにドストライクな作品初めてみました。とても好きです。 (9月7日 23時) (レス) @page24 id: a0f7c3b137 (このIDを非表示/違反報告)
てふ(プロフ) - 柴イヌさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えれるよう頑張ります! (8月21日 12時) (レス) @page21 id: cfa7e5adb6 (このIDを非表示/違反報告)
柴イヌ - めっちゃ面白いです!続きが待ち遠しいです。作者様のペースで次回作待ってます! (8月21日 9時) (レス) @page21 id: a0f7c3b137 (このIDを非表示/違反報告)
ちと(プロフ) - へいさん» お返事遅れて申し訳ありません。大変嬉しいお言葉ありがとうございます! (2022年10月21日 1時) (レス) id: 20c14f813d (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2022年8月31日 19時

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