消失 ページ2
.
｢A！今日じいちゃんの見舞い先行ってて！俺オカ研顔出してから行く！｣
『おー、おっけ。花担当変わろうか？』
｢いや、今日目星着いてる花あっから大丈夫！ありがと！｣
『了解、早めに来いよ』
応！といい返事を聞いて、俺は学校を出る。
俺は一応卓球部だけど幽霊部員だから実質帰宅部。
真面目にやる気もなかったし、幽霊部員になるのは当然といえば当然かも知れない。
花屋の前を通って、1度立ち止まる。
あ、悠仁が買ってくんだからいいのかと心の中で自己完結してまた歩みを進めた。
花の上で化け物が小さく呻いていた。
『じいちゃん、来たよ』
｢…オマエか。部活はどうしたんだ｣
『俺幽霊部員だから、じいちゃん思いでいいでしょ』
｢面倒臭いだけだろうが、部活しろ部活｣
ぺーぺーうるさいじいちゃんを無視して、予め買っといた果物をテーブルに置く。
することもないから、丸椅子に腰掛けた。
｢A、オマエは強い。悠仁とは別の強さだ。だから守れ。救いたい奴だけでもいいから救ってやれ｣
『…じいちゃん、それどういう＿＿＿』
俺がその意味を聞こうとした時、ガラガラと扉が開く。
花を持った悠仁が俺らを見て、話途中だと気付き謝っていた。
まぁさっきの事は後で聞けるだろうし、と思い直す。
花瓶に花を入れている悠仁とベットで佇んでいるじいちゃんの会話を眺める。
相変わらずだなと他人事の様に思いにふけた。
｢…悠仁｣
｢んー？｣
畏まるようにいったじいちゃんに違和感を感じつつ、流し聞く。すると俺にさっき言ったようなことをいうから驚いた。
記憶も混雑するようになったのかと冷や汗をかく。
｢…爺ちゃん？｣
悠仁の不思議そうな声で思考が2人へ戻る。
様子がおかしいじいちゃんをじっと眺めれば、いやでも察してしまった。
『…悠仁、ナースコール』
｢…おう｣
必死に涙がこぼれ落ちないように抑えている片割れの肩を叩く。ナースコールで悠仁が連絡している間、置いといた果物を取り出した。
『…買ってきた意味なかったじゃん』
涙は流れなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1410人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
てふ(プロフ) - しゃけさん» ありがとうございます。結構尖った作品なので不安でしたが、好きになって貰えてとても嬉しいです！ (9月8日 3時) (
レス) id: cfa7e5adb6 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ - こんなにドストライクな作品初めてみました。とても好きです。 (9月7日 23時) (レス) @page24 id: a0f7c3b137 (このIDを非表示/違反報告)
てふ(プロフ) - 柴イヌさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えれるよう頑張ります！ (8月21日 12時) (レス) @page21 id: cfa7e5adb6 (このIDを非表示/違反報告)
柴イヌ - めっちゃ面白いです！続きが待ち遠しいです。作者様のペースで次回作待ってます！ (8月21日 9時) (レス) @page21 id: a0f7c3b137 (このIDを非表示/違反報告)
ちと(プロフ) - へいさん» お返事遅れて申し訳ありません。大変嬉しいお言葉ありがとうございます！ (2022年10月21日 1時) (レス) id: 20c14f813d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2022年8月31日 19時
