184. ページ5
.
『無理ね。それができるなら
最初から爆発なんてしてないでしょ』
間髪入れずに、そう淡々と返すと、
ふいにAの表情が険しくなり、
わずかに危惧してみせる。
『あれだけ音が暴走してたら
いつか
「……よく、わかんねーんだゾ?」
『後悔はしない方がいいってこと。』
つづく言葉は、どうしてそこまでして
"止める"事にこだわるのか。
それに対する答えだった、
その返答にグリムは首をこてんと傾げたが、
伝わらずともいい。とAはやわらかく微笑んだ
『どうにかするわ。
だからグリムはちょっと降りてて』
真剣な眼差しと、
柔らかくもどこか重みのある言葉に
グリムはきょとりと目を丸くさせながらも
言われるがままに身を離す。
すると、そこに。
ズシャッ、と、人1人分が倒れ込む音がする
そちらを見やれば、
デュースが 倒れた相手の胸ぐらを掴み、
片方の拳を振りあげる姿があった。
瞬間、場に流れていた怒りの音色が
ほんの僅かに変化をみせる。
熱く高ぶる感情が織りなした、
たった数秒きりの、迷いの色。
それをみすみす聴き逃すAではない。
「ひぃッ…!ゆ、許し…ッ」
「………」
ためらいが後ろ髪を引くも
それさえも荒ぶる感情が振り切った。
怒りのまま振るう、トドメの一撃が
相手の顔に触れそうになる。
肥大化した1つの音は
自分の力だけでは、もう止まれない。
『___背に
このタイミングだ。と、
Aが手短に、吟詠を誦した。
すると 光が手元に集まり、
たちまち それは物として具現化する
剣ではない。それよりも小さな、
ブロンズにきらめく本体。いわゆる弦楽器とされるもの
なんの変哲もない楽器、違うところといえば
本体の縁に特殊なチェッカーが施されているくらいか
『______。』
素早く本体に顎をおき、
慣れたようにして背をぴんと伸ばす。
そして、今この場を落ち着けるフレーズを想像し、
高らかにフィドルを奏でた。
56人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ