ただ、好き。【糸師凛】 (ページ29)

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エレベーターが行ってしまうと、凛は階段を見つけた。上を見あげると、屋上まではかなり量があった。一息付き、気合いを入れると、凛は登り始めた。

その頃Aは、エレベーターの中だった。

「アンタこんなことして生きてれるなんて思わないで…」

「ﾊｯそれはどっちのセリフかなァ？俺はこぉんないいもん持ってんだぜ？」

銃をチラつかせながらそういった男。確かに、銃を持ち、Aに手錠をかけていては確実に不利だ。下唇を噛むことしかAは出来なかった。

　屋上に着くとAはフェンスのない端に立たされた。察した彼女は震える足を深呼吸をして落ち着かせた。

「ハハハｯ！！あの天下の暗殺者様でも死は怖ぇのかよ！ブルブル震えてんぞ！」

男がゲラゲラと笑っていると、バンと屋上の扉が開いた。
2人がそちらを向くと、案の定糸師凛だった。

「凛…ｯ！」

Aがそう彼の名前を呼ぶと、呆気に囚われたのか、あんぐりと口を開いている男。油断していた彼をAは思い切り蹴り飛ばした。そのまま縄跳びのように腕を前に持ってきた。

「ぁがｯ？！う、うわぁぁぁぁ！！」

汚い声を上げながら落ちていく彼に目もくれず、Aは凛に駆け寄った。

「凛ｯ！！」

凛はふっと笑うと、Aに銃口を向けて1発放った。