記憶その75 ページ30
『ひっ……んぐっ……うっ』
顔を上げた途端目に映った皇女は
殺しきれていない声を静かに漏らし
肩が揺れるたびにポロポロと落ちる大粒の涙を一生懸命に拭っていた
それに気づいた後ろの二人は黙って皇女に近づき、紫色の瞳の護衛はハンカチで優しく涙を拭き取り、橙色の瞳の護衛はそっと背中を擦った
俺にはその光景が到底理解できなかった
tn「なんで、泣いてんの？」
また、気付いたら口に出ていた
只々疑問でしかなかった
さっきまでうるさいくらい元気だった皇女が
なんで急に泣いているのか
わけが分からなかった
zm「ど、どうしたん？どこか痛いん？」
ut「トントンが怖かったん？」
他の奴らも驚いたのか、何人かが声を掛けながら皇女に近づく
そうか俺が怖かったんか
確かに怒鳴るような勢いで叫んでいたし怖がるのも無理はない
それなら泣いてる理由にも納得がいく
するとジーッと俺の方を見るシャオロン達と目が合う
なんや、俺が謝らんといかん感じか？
別に思ったことを言っただけで泣かせるつもりは……
そんな事を思っていると皇女は違うと声を漏らす
『ちがっ、う……グスッ』
全員が皇女の声に耳を澄ます
なんや何が違うんや
嗚咽をもらしながら皇女は続ける
『だって、うっ……貴方達がっ、そんなに、辛い思っい……ングッ、してるって、知らんぐて…!ヒック……トントンがっ、叫んでるとき、トントンも、みんっなも…凄く、悲しい顔しとってっ、今まで、気付かないで、ひっ……助けて、あげられんかったのが、グッ……悔しくてっ、申し訳なくてっ、腹が立って…！うぐっ……ひっ……ごめんなさい、ごめんっなさい、ごめんなさい……！』
何度もごめんなさいと口にしながら皇女はさらに涙を流す
皇女の口から出たのは予想だにしない言葉だった
なんやねん……一体……
コイツは他人のために涙を流せるんか？
それになんで皇女が謝るんや
皇女が何もしてないって事はこの場の誰もが分かっていることなのに
なんで皇女が責任を感じるんや？
頭に浮かぶのは皇女に対する疑問ばかりで目の前の光景をうまく受け止められない
皇女が俺達以上に悲しむ必要なんてどこにも……
するとグルッペンは皇女に目線を合わせるようしゃがみ、俺が感じていた疑問を投げかける
gr「何で皇女が泣くんだ？俺達とは何の関係もないだろう。それに関係のない皇女が謝る必要はないんだ。もういいから……」
すると皇女は涙の溜まった目でグルッペンをキッと睨みつける
『関係なくなんかない！！関係大あり！！』
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ごまプリン(プロフ) - 紗由さん» はじめまして！ありがとうございます！作りたての時から書きたいなと思ってたので面白いと言っていただけて良かったです！次の過去編も楽しんでもらえるよう頑張ります！！ (2021年6月7日 22時) (
レス) id: 6ebd880c68 (このIDを非表示/違反報告)
紗由(プロフ) - はじめまして。こんにちは。夢主ちゃんの過去編面白かったです！学校で朝通知がきて放課後までずっと楽しみでした!tntnさんたちの過去編も楽しみにしてます！ (2021年6月7日 16時) (レス) id: 0ea605d8d3 (このIDを非表示/違反報告)
ごまプリン(プロフ) - CO2さん» ありがとうございます！大好きと言ってもらえてめっちゃ嬉しいです！！亀さん更新は中々直りませんが（泣）完結に向けて頑張ります！！ (2021年1月11日 14時) (レス) id: 6ebd880c68 (このIDを非表示/違反報告)
CO2(プロフ) - 続編おめでとうございます！この作品大好きなので、亀更新でも続きを書いてくださるだけで凄く嬉しいです！！これからもごまプリンさんのペースで無理なく更新していってください(o_ _)o (2021年1月11日 6時) (レス) id: 55ea3c243b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ごまプリン | 作成日時：2020年12月29日 2時
