【おそ松さん】君の名は＿＿。【松野おそ松】

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おばあちゃんが急に作業をとめて、私とレイカを呼んだ。



今は儀式に使う紐作りの仕上げをしているのだ。
組紐、という伝統工芸で、細い糸を組み合わせて一本の紐を組む。完成した組紐は模様の編み込みが可愛い。…とはいえ、編み込みは大変でレイカのぶんはお婆ちゃんが編んでいる。アシスタント作業を気に食わないのか、レイカが文句をいうと急におばあちゃんが話し出した。



「これにはな、この町千年の歴史が刻まれとる。今から遡ること200年…」

また始まった…と私は苦笑いする。お婆ちゃんはこの話をいつも儀式の前に話し出すのだ。

「草履屋の山崎繭五郎の風呂場から火がでて、この辺は一丸丸焼け。これが繭五郎の大火。
お陰で、この組紐が意味するのも、舞う意味も分からんくなってしまって、残ったのは形だけ。せやけど、意味は消えても形は決して消してはいかん。形に刻まれた意味は、いつかまたよみがえる。
それが、宮水神社の、大切なお役目。


せやのに…あのバカ。神職を捨てて家を出ていったのに政治家なんて…」




おばあちゃんが溜め息をついた。バカとはお父さんのことだろう。悲しそうな顔をした。

それとは違い、レイカはなぜおばあちゃんが悲しそうにするのかわからないようだった。

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