LC 12-7 ページ7
冷笑だ。
｢何を言うと思えば…。何故？アテナは余の器である兄＿＿アローンを大方人としての一生を懸けて守りたかった。愛という抽象的な概念でこの聖戦を終わらせたかった。いや、そもそもアローンを守ることが、余の降臨を阻止できる手だてだったからか？｣
それも全て、アローンが愛した二人を引き裂いた元凶はお前だ。
シジフォス！
アローン心と俺の怒りが混み上がるのを『押し殺し』、会話を続ける
｢ﾌﾝ…それで？余がハーデスとなった今、その愛情とやらも無意味だったな｣
この一言にシジフォスの弦が強く握られ引き絞っていく。
そして…強い意思を持った声で言った。
「いいや、ハーデス。アテナ様の愛は我らにとって常に……希望だ！！｣
刹那。矢は俺の心臓目掛けて飛んでいく。
効くわけがないだろ。
俺になど…お前の心臓にでも突き立てろ！
手を振り切り…
『馬鹿め。放たれるべきは己の心臓よ！』
俺のその言葉とともに、矢はクルクルと空中で回転した後に跳ね返った。
ﾄﾝｯ…
軽い音をたてて、矢はシジフォスの胸へと突き刺さった。
｢シジフォス！！」
サーシャの叫びが木霊する。シジフォスの身体は耐えきれずにその場でヒザをついた
天に唾すればそれはその身に降りかかるように、神に矢を向ければその矢も跳ね返ってくるとはこのことだ！
｢…ハーデス……」
サーシャは力なく呟いた。自分の前でシジフォスが倒れようとしていく様を見て、感情をフツフツと沸き立っていく。
｢ハーデス！！」
ﾄﾞﾝｯ！！
力強い声と共に、光芒がサーシャの足もとから溢れ出す。
それはサーシャを包み込んで、手に持つ黄金のニケへと集まっていく。
俺はハーデス。アローンの代わりに成すべきことは…
｢…ああ。やっと戦女神らしくなったな」
ニヤリと口を笑みのカタチに歪めて見せる。
『聖戦だ。アテナ！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ルビ | 作成日時：2022年2月1日 22時
