LC 18-4 ページ34
…そうであった。
先ほど捕らえたアテナの聖闘士でも餞別に返してやろう。
シオン。ユズリハ。と叫ぶ声はきっと師弟関係なのだろうか。
｢無謀にもハーデス城の結界内に入り込んだ不届き者だ。特に、その牡羊座の男はお前を追って来たようだがな。｣
｢なっ…！馬鹿者！！あれほどシジフォスに待機の命を出していたというのに…何故？！｣
｢…馬鹿なのは貴方の方だ。｣
｢いつも自分だけ納得してさっさと行動して…今回だって早まるにも程がある。私も聖闘士として、ジャミールを出て数年…｣
｢何故共に死のうと言ってくれないのです！！｣
｢シオン様…｣
｢
パチパチパチ…
賞賛に値するぞ人間。
｢美しいな人間。｣
｢いじらしいではないか。力の奪われる結界内において尚。お前のために戦いたいという愛弟子の姿。｣
｢願い通り共に死なせてやろうか。｣
｢エンカウンター アナザー フィールド！！｣
｢まずは高度一万メートル。体感させてやろう。｣
ぐしゃりと音がする。
身体が地面にたたき付けられる音だ。
｢儚いな。｣
｢儚い？何がじゃ！？｣
…なるほど。前聖戦の雪辱を胸に生き続けただけのことはある。
だが！
｢ほぅ。だが、いくらその執念で心身を鍛えても、神の前で愛する者らを守りきれるかな…。圧倒的な神の力の前で！！｣
巨大な隕石を出し、私はこの者に問い一つを投げてみた。
｢お前を思う弟子に免じて、慈悲を与えてやってもよいのだぞ。本来私は無駄な争いも、血も好まない。故に…｣
｢弟子を救いたくば、頭を下げよ！！その剣を置き弟子共々地上の行方を怯えながら待て！｣
すると弟子の一人の黄金聖闘士が、腕をしっかりと掴んでこう言った。
｢…師ハクレイ。二神の封印は貴方の背負い続けた前聖戦の戦士たちの意志…貴方は…っ成さねば。｣
｢…シオン様の言う通りです。私たちは…っ今まで貴方から戦士の心を教えて頂いた。足手まといなど…死んだ方がマシなのです！！｣
｢弟子の心は決まっているようだな。では共々逝かせてやろう。｣
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作者名：ルビ | 作成日時：2022年2月1日 22時
