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LC 17-4 ページ27
俺はいよいよ動揺を隠し切れなくなった。
だって俺の口はずっと上がったままで、一向に戻ろうとしないから。
｢その手…どうして戻さないのです？あぁ！口が上がって戻らないのですか。なんと歪んだ心だ。｣
ヒュプノスは、俺に向かって近づいてきた。
思い切り格子を捕まえて来たことで、格子の揺れる気味悪い金属音がなる。
ｶﾞｼｬﾝｯ！！
｢お前ほど邪悪な存在など見たことがない！！｣
俺は思わず一歩後退りした。
｢お前は人の分際で、冥王軍を、我が一族を、聖戦の行方すら操ろうとしている。｣
｢神聖な使命！？違うな、それこそ邪悪よ！！｣
｢邪悪…？｣
｢そうだ。＿＿お前こそ邪悪な人間だ｣
｢人でありながら、冥王を語るなどなんと傲慢。なんと浅はか。成人の魂のはずなのにまるで子供のようだが純粋さの欠片もないような汚い心。今まで見たこともないほど醜い魂よ！｣
俺が醜い？
邪悪な人間？
｢俺が…｣
そう思ったとき、不意に胸元にかけていた銀のペンダントが光り出した。
このペンダントは、アローンが大切にしていたもののばす…
嘘だろ？まさか…！
内側から外へ出んとする莫大なる小宇宙。
自身の身体が張り裂けそうだ。黒い小宇宙はアテナ神殿で感じたものと似ていた。
あの時入り込んだのはこれだったのだ。
黒い小宇宙は姿を変え人の形に変化する。
空気が張り裂けるような悲鳴を上げながら、俺はその姿を目視した。
全身に汗が流れるような不気味さと美しさをもった神＿＿冥王ハーデスの姿を
冥王ハーデスは、その凄まじい小宇宙を持ち俺の魂を喰らうようにしてアローンの肉体に入っていった。
｢心よりお待ちしておりました。我が主｣
｢そうだ。我は冥王ハーデス＿＿今こそアテナ軍を迎え聖戦の決着をつけよう｣
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作者名：ルビ | 作成日時：2022年2月1日 22時
