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LC 16-5 ページ21
｢＿＿私は、ハーデスと相見えたときからずっと、人間らしいと思いました。シジフォスの一件も、まるで私を取られた当時の怒りを現したように見えました。あの時いたのは神ではなく人だと…ﾊｯ！｣
そうだ。私達はなぜ気がつかなかったのだろう。
＿＿神ではなく人
圧倒的な力をもつ神の小宇宙を私達は感じていなかった！
｢アテナ様。何か思い当たる節があるご様子。我らにもお話下さいませ。｣
｢セージ。私達は何か見落としていると言いましたね？私達はてっきりハーデスの小宇宙によって、黄金聖闘士達が動けなくなったと思いました。しかしどうでしょう？私達が強く感じたのは、ハーデスを守るように来た冥闘士の小宇宙だけなような気がしませんか？｣
｢確かに。そうだとするならば頷ける点もありますな。アローンという依り代に今だハーデスは完全に覚醒をしていないとするならば…いやしかし｣
｢仮に小宇宙以外で、どうやって最強の12人の動きを封じるのだ。｣
そうハクレイは呟く。
私はふと気になることを思い出した。
｢＿＿あの方はどうなったのでしょう｣
｢…冥闘士にされた白銀聖闘士 の元にいた男のことですか？｣
｢そうです。彼はアローンからハーデスを守るため力を貸してくれていましたが…あるときから加護を受け取らなくなってしまって｣
｢アローンの近くにいないと考えると、恐らくもう…｣
｢その男とは、話に聞く冥闘士にくっつく魂のことですかな？アテナ様。その男は小宇宙を扱えるのでしょうか？｣
｢ハクレイっ！彼はアローンの為に闘ってくれたのです。なんてことを…｣
すると、突然ハクレイは大笑いをしてこう言った。
｢ハッハッハッ！申し訳ありませんアテナ様。ワシもそのような心強い者と一度会ってみたかった。それだけです。その者はアローンの為に動いた。小宇宙の有無なく立派な戦士。アテナ様が仰られた“神でなく人”だと感じられたのも、きっとその男のお陰にございましょう。｣
セージも言葉を紡ぐように言った
｢我らは、繋いでくれた全ての者の為にも、この聖戦を勝たねばなりませぬ。いや、もしかしたらまだアローンを救う手立てがまだ残っている可能性すらあると言えるでしょう。アテナ様｣
｢アテナ様｣
二人に名を呼ばれ、私はゆっくりと息をする。
冷たい空気が私の身体を回るのを感じて私は目を開けた。
｢ありがとう。セージ、ハクレイ。ここまで繋いでくれた者の為にも私達が諦めてはなりませんね。｣
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作者名：ルビ | 作成日時：2022年2月1日 22時
