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LC 14-2 ページ13
｢ハーデス様。先行をどうぞ。｣
チェス。それは心理戦。一対一の己の自我がはなはだしく関わる卓上ゲーム
このチェス勝負で貴方のお心、見定めて見せましょう。
じっくりと…ね
場局は進み、結果として私の優勢で進みつづけた。
…ここが潮時。私は最後の一手をもって
｢もう一騎のナイトを前に…チェックメイトですね｣
｢そうだな、ヒュプノス。斜め前ががら空きだ。｣
｢チェックメイト。｣
チェック…メイトだと！
驚きを隠せず、私はハーデス様の顔とチェス盤を交互に見る。
私が…負けた？
この局面で？何故…！
｢油断は禁物だ。お前こそ最後は詰めが甘いようだな。だが、余は久しぶりに有意義な時間を過ごせた。余は戻るぞ。｣
扉が閉まること音を聞いた後に、もう一度局面を見つめる。
そう。私が指した後のこの一手。
いや、その前から私は知らぬ間に手の平で踊らされていたのだ。
まさに神の一手。私の知り得ない新しい一手。
しかし＿＿このような戦いをハーデス様はするだろうか。いや、するはずがない
前もって用意をしていた？
いや、そんなものではない。この一手は…
｢何を呆けている。ヒュプノスよ｣
｢タナトスか。何…ハーデス様と一局打ったところよ｣
｢何？ハーデス様がチェスを？珍しいな｣
｢そう。珍しいのだタナトス。＿＿そういえば前にわけもわからぬ事を言っていたな、タナトスよ。確か、ハーデス様が何か言った切り消えた事があると｣
｢嗚呼！鮮明には思い出せぬが、確かに言ったぞ｣
｢モヤがかかったように…か？｣
｢そうだ！モヤがかかったように思い出せぬ。｣
腕を組み唸る様子からして本当にそうなのだろう。
やはりこの違和感。見過ごすわけにいかないような気がする。
｢信じよう。タナトス。私も同じようにチェスの一戦で感じた。あのハーデス様は、我らの知るハーデス様ではないのかも知れない。｣
｢我らの知るハーデス様ではない？それは完全な覚醒をされていないという事か。｣
｢フム…その可能性は感じられる。ここは少し、私の夢界でハーデス様にはロストキャンバスに集中して貰うとしようか。｣
｢夢界か。確かにあの場所ならば、しばらく絵に集中できるであろう。｣
｢そうだな、タナトス。…私からパンドラを呼ぶとしよう｣
何…心配はいらない。
あの場所でロストキャンバスに集中して頂ければそれでよいのですよ
ハーデス様…
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作者名：ルビ | 作成日時：2022年2月1日 22時
