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「俺は欲しいものは全て手に入れる。やりたいことは全部やる。どんなライダーが出てきても…俺は勝つぜ？何故だか分かるか？」
北岡サンの瞳には迷いがない。
ソレはきっと、ライダーの在るべき姿なのだろう。蓮や真司とは違う、ソレは。
「俺は自分の為だけに戦っているからな。そういう人間が一番強いんだよ。お前、ライダーになるには10年早かったな」
北岡サンは蓮に歩み寄って、馬鹿にするように青臭いんだよ、と言った。
そして、蓮の首に掛かったチェーン…その先にぶら下がった、リングを見つめる。
それは、蓮の戦う理由を体現したものだ。
「ほーぅ？」
「！」
「ペアリングか」
北岡サンが、ソレに手を伸ばす。
蓮は殆ど反射のように、その手を振り払った。
「ホント青臭いね！」
北岡サンは吐き捨てるように言って、今度こそその場を後にする。
蓮は何か言い返そうと一歩踏み出したが、その一歩の後が踏み出されることはなかった。
『…帰ろう。ね、蓮』
「お前は…＿＿＿＿…」
『…ン？』
「いや、」
蓮はもしかしたら、戦う意味を失いかけているのかもしれない。優しさに蓋をして戦っていたのに、真司と出会ってその蓋が緩んでいるのだろう。
だから、北岡サンの問いかけに答えられなかった。北岡サンに言い返せなかった。
『…帰ろう、蓮』
終着点は、全てのライダーに対して平等。
ライダーの戦う理由に、否定も肯定もしてはいけない。
誰もが願いを抱えていて、それは全て、他人が善悪を判断できるものではないのだ。
だから、ごめん。
蓮。
お前のその問いかけに、是非を答える訳にはいかないんだ。
＿＿"お前は俺を肯定してくれるのか"＿＿
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2022年10月1日 14時
