鶴は幸せを運ぶのか Ⅰ (ページ32)

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「さて、話をしましょうか」
『……！』

須藤サンは、大した時間もかけずにミラーモンスターを倒し、現実の世界に帰ってきた。実力はかなりのものらしい。

彼は冷たい、しかし辛そうにも見える顔つきでそう言った。いつの間にか私は、壁際に追い詰められている。通りからも、死角になって見えない場所。

「貴方は、ライダーですか？」
『いいえ』
「…ではなぜ、モンスターの音が聞こえたんです？」
『…そ、れは。…私が、このライダーバトルの…終着点、だからです』
「終着点？」

終着点。
死んだモンスターが還る場所。
…きっと、ライダーにとってもそう。

私が知る全てを伝えれば、須藤サンは納得したように頷いた。そして、一つ長く息を吐く。

「良かったです」
『…良かった？』
「貴方を、殺さずに済む」
『……』

須藤サンの表情は安堵に満ちていて、本心だということが分かった。嬉しく思うと同時に、彼は他のライダーを殺すつもりなんだと辛くもなる。
それが当たり前のことだとしても、やっぱり、辛い。

「では改めて。送ります、車へどうぞ」
『…ありがとう、ございます』

須藤サンによって開かれたドアから、彼の車に乗り込む。

行き場のない感情が、私の脳を埋めつくしていた。