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「ただいま」
「おかえりー」
『おかえりなさい』
さぁみんなで昼食を、と手を合わせたところで、令子サンが帰ってきた。
持ち上げた箸を一度置いて、令子サンへ視線を向ける。
「あの、令子さん……昨日は、ほんとにすいませんでした」
「…何度も謝られるのって嫌い」
「…すいません」
隣に座っていた真司が立ち上がって、そう言った。謝られるが嫌だと言われた次の瞬間に謝るなんて、相当反省しているのか、バカなだけなのか。
いや、今日は何度かおかしな点があったから、真逆の前者かもしれない。
マァ、昨日の請求書の件、実際に対応したのは令子サンだったらしいし、反省はしてもらいたいところだけど。
「なんだよ真司ィ、今日随分沈んでんじゃねーかよ。昨日の失敗でヘコむよーなお前じゃねーだろ、ん？」
「ヘコんでませんよ！」
『じゃあ何、そんなにホラー映画怖かった？』
「いや、ホラー映画じゃなくって！」
からかえばいつもの真司に戻るけれど、やっぱり今日は何かおかしい気がする。
真司の態度を気にかけていれば、誰かの電話がなった。見れば、令子サンの電話だ。
「もしもし？うん、そう。分かった」
令子サンは電話相手にありがとうと告げて、パチンと電話を閉じる。
「編集長。また行方不明事件です」
「またか」
「グローバルプラザで。取材行ってきます」
「分かった」
『一人でですか？グローバルプラザなんて広いし、私も…』
「大丈夫よ、慣れてるから。Aは着いて来たいだけでしょ」
『はは、バレてら。お気を付けて』
「ええ」
令子サンは帰ってきて早々、また取材に向かうらしい。久々に着いていきたいなぁなんて思って提案すれば、意図は簡単に見抜かれて却下された。
「ちょっと待ってください」
「何？あんたも一緒に来たいの？」
真司が立ち上がって令子サンの行方を阻んだ。抜け駆けかと昼食のうどんを啜りながら睨んだら、真司は少し言い淀んでから言葉を紡ぐ。
「取材は…やめた方がいいと思って…」
「何？どういうこと？」
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2022年9月24日 18時
