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『…ジーナス博士？』
｢ぐ、…君、は｣
『水瀬Aって言います。ジーナス博士、であってま…敬語はいいか。あってる？』
｢ああ｣
『取り敢えず応急処置。怪我見せて』
｢…すまない｣
今のジーナス博士は腕やら頭やらから血がボタボタ流れていて、このままにしてたら確実に出血多量で死ぬ。持っててよかった救急道具。
『はい、肩どーぞ。低いのは我慢してね』
｢いやだが…血が…｣
『殺そうとしてたのに、そんなとこ気にすんの？』
｢…じゃあ、失礼する｣
ジーナス博士に肩を貸しながら歩く。身長差も体重差もあるが、特典があるので大丈夫だ。
『戦闘室？的なのってどっち？』
｢…あっちだ｣
『了解でーす』
と、段々と騒がしくなってきた。今頃ジェノスが戦ってアフロになってるんだろうな。
｢ここだ｣
『うわっ広』
ドアから覗いたその空間は、驚く程に広かった。ここが本当に地下なのか疑うほどだ。
｢そーかい。んじゃとっとと来な。全力でなぁ｣
『…ジーナス博士。アイツ結局何』
｢…進化の家が作り出した史上最強の悪魔。阿修羅カブトだ。人工進化最終形態の怪物…それ相手に、現人類がどう戦うかな｣
『…言っとくけど、サイタマ先生はすっごく強いよ』
｢承知の上だ｣
残念。先生は、そんなすぐに底が見える強さじゃあないんだよ。
先生が阿修羅カブトに向かって歩き出す。場の空気が
変わった。
｢お。わかる…わかる！おめー強えなあ！｣
｢ガッカリさせんなよ？お前ここの最終兵器なんだろ？今朝の奴等と明らかに違う。自信に満ちた表情してっからな｣
『せんせーかっこいい！』
｢ちょっと黙れお前｣
『ごめん』
先生に手を振れば、軽く一蹴された。…なんかこれデジャヴ。
｢余所見とはいい度胸だなぁ！？｣
ヴンと風を切る音が聞こえ、阿修羅カブトが動く。並の怪人では比にならない速さだ。そして阿修羅カブトはそのまま拳を振り上げ…
ーﾀﾞﾝｯ
大きく退いた。
｢！？今…逃げた……？｣
｢何してんだ？おい？｣
隣のジーナス博士がありえない、といった目で先生を見つめる。阿修羅カブトも冷や汗をこれでもかと流しながら先生を見つめる。
そして当の本人は、不思議そうにそれらを見つめ返していた。
｢貴様ァ！それほどまでの力！一体どうやって手に入れたんだよォ！｣
｢……お前も知りたいのか。いいだろう｣
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2022年9月5日 0時
