笑って、オンディーヌ (ページ12)

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一際大きな揺れ。今度はフライパンを落としそうになった。危ない危ない。完成間際に落としたらやる気失って地べたに転がるところだった。
そして揺れはピタリと止んだ。戦闘が終わったらしい。B市消滅しただろうけど市民は避難できたのかな。
あー、先生の「圧倒的な力ってのはつまらないもんだ」聞きたかったなぁ〜。まぁしょうがない。正確な日付がないからどの日にどの戦いがあるのかなんて分からないし。
取り敢えず先生に電話しよう。外でご飯買われたら作った意味無くなるもんな。

ートゥルルルル

「もしもし。」
『もしもしー。先生今疲れてる？疲れてるよね？』
「は？あー、どっちかと言うと精神面がな。」
『そっかー。実は今先生の家に居るんだけど。』
「おい不法侵入だろそれ。」
『この前合鍵貰った。』
「勝手に持っていったんだろうが…」
『でね、お昼作ったから早く帰って来て？お高いハム貰ったんだ。』
「まじ？買わなくて良かった。もうつく。」
『りょーかーい。』

間に合って良かった。作ったものを温め直し、食卓に並べる。

「ただいまー。」
『おかえりー。ほんとに早かったね。』
「おう。」

と、帰ってきたサイタマ先生。彼は足早に洗面所へ行き、着替える。いつも通りのOPPAIパーカーに身を包んだ彼を食卓に呼び、ご飯を食べる。

「ん、うめえ。」
『ハムって美味しいよねー。』
「…こんなに食っていいのか？」
『いーの。食べようが食べまいがすぐ同じようなの貰うし。』
「なら遠慮なく。」

噛み締めて食べるサイタマ先生。ハム嫌いな人ってそうそういないもんね。喜んでもらって何より。私も一人で食べるのは寂しかったし、win-winってやつだな。良かった。

『先生さぁ。』
「んー？」
『今、人生楽しい？』
「失礼だな。」
『いやごめん馬鹿にしてるとかじゃなくてさぁ…。…先生強いから。』
「……ま、圧倒的な力ってのはつまらないもんだよ。」
『…そっか。』

暫く沈黙が続く。

「まぁ…」
『…？』
「お前と居る時は楽しいな。何しでかすか分かんなくて。」
『！』

くくっ、と笑って言うサイタマ先生。

『なら、来て良かった。』
「…お前、分かってたのか？」
『？』
「…なんでもない。」

笑って食事を再開する先生。それに合わせて私も食べ進める。先生を見ていると、不思議と頬が緩む。

『今度から、来る回数増やすね。』
「それは勘弁してくれ。」