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「佐野君は、僕が殺さなきゃいけなかったんだ！僕が…英雄になるために！」
『ッ、……、』
「だからAちゃんは、他のヤツになんか渡さない。他の人に殺される前に…僕が殺してみせるから、」
指先から、体の力が抜けていく。
せめてもの、意味を持たない抵抗すら出来なくなり、視界にモヤがかかったようにゆっくりと暗くなっていった。
先程まで聞こえていた、ストーブの火が弾ける音。それすら聞こえなくなった時点でようやく、脳内に死のイメージが浮かぶ。
「大好きだよ、Aちゃん」
嗚呼、死ぬのだと。
酸素が足りないせいか上手く回らない頭で、私はようやくその結論に行き着いた。
最早痛みも、鈍くなって感じない。ソレはある意味救いなのかもしれない、なんて、現実逃避に近しい思考を脳が行う。
目を開けているのが辛くなって、必死の抵抗も虚しく、瞼が降りた時。
「Aちゃん！」
荒々しく扉が開く音が、遥か遠くから聞こえた気がした。それに続くように自らの名前を呼ぶ、東條とは別の人間の声が聞こえたのだ。
「何してんだよッ！」
「…邪魔しないでくれるかなぁ」
「巫山戯んなッ！Aちゃんに何してんだッ！」
「見れば分かるでしょ？」
首から東條の手が離れ、一気に肺に空気が流れ込んだ。ずっと求めていた酸素だが、突然大量に与えられたことにより、私の喉は意図していない咳を繰り返す。
「東條ッ、お前…ッ！」
『しん、ッゲホ、なんで、ッこ、こに…』
「Aちゃん、」
上体を起こそうと努めれば、今にも東條に殴りかかろうとしていた真司が駆け寄って、私の肩が支えられる。
お礼を言おうとしても咳き込んでしまい、悔しいかなソレは叶わない。しかし真司は私の背中を摩ってくれて、それによって私は、次第に元通りの呼吸を取り戻すことが出来た。
『真司…なんで、ここにいるの』
「それは…優衣ちゃんについて分かることがあるかもしれないと思って、」
『優衣に？』
「…香川さんは、優衣ちゃんがミラーワールドに関係してたって知ってたから、もしかしてって。だから東條に話聞こうと思って…なのにコイツ…！」
「知らないよ、そんなの。知りたいなら先生の資料でも見れば？」
「そんなのあんのかよッ、」
「ここに」
互いに苛立ちを隠さない声音で、彼らは数回会話のラリーを続ける。
そして東條は最後、あるモノを指さしてそう告げた。香川サンの資料の場所を問われ、彼が指さした場所。ソレは、部屋の中央に佇むストーブであったのだ。
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りんごキャラメル@さくらぁ - 《追記》しかしそんな馬鹿なトコがかわいくて好きです。 (5月19日 22時) (
レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - 多数決のシーン、好きです…(笑) 後から浅倉さんがゆっくり手をあげるトコとか。夢主ちゃんもあげましたか…やっぱり、真司くんは馬鹿なんですよ(←酷) (5月19日 22時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年5月16日 18時
