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「出来れば、先輩の傍に居たいんですけど」
「分かった。出来るだけのことはしてやるからな」
「あの…具体的に言いますとどんな、」
「そうだなぁ…」
真司も同様らしい。元々優しい彼が、この身の上話を他人事として流せるワケがないのである。
出来るだけのことはするというのも、きっと本心だ。故に彼は数秒、試験真っ最中の学生のような顔で考え込んで、一言。
「花鶏では飲み食い自由、ってのはどうよ」
名案だと自信満々に、彼は笑顔で言ってのけた。
「『ハァッ！？』」
私と佐野とは同時に、疑問と怒りを綯い交ぜにした言葉を発した。
佐野の本心は分からない。しかし私の胸中は、"勝手に決めるな"という真司への怒りで埋め尽くされていたのだ。同時に、何故急にそんな突拍子のないことを、という疑問も存在している。
『何勝手に言ってんの！』
「だって、それくらいしか…」
『百歩譲ってその提案は許す。でもその場合、佐野が飲み食いした分の料金はお前が出すことになるからなッ？！借金してるのにそんなこと出来るのか知らないけど！』
「なっ…」
『当たり前でしょ！叔母サンに相談もしないでそんな勝手な…』
彼なりに必死に考えたのだから、こうも責めるのは可哀想かもしれない。しかし、ココはビシッと言ってやらねば、最悪花鶏が崩壊する。
私が心を鬼にして捲し立てれば、彼は気まずげに、スっと私から目を逸らした。
「なっ、なんだよ…文句あんのかッ？」
「い、いえっ！…よろしくお願いします、先輩」
『だから駄目だって、』
「Aちゃんも！俺、本当に今大変なんだよ！人助けだと思って！ね！」
『ちょ、』
真司が視線を逸らした先には、驚いたような顔をする佐野。私に怒られムッとしている真司はそのまま彼に噛みついた。すると彼は切り替えたように笑って、握手の手を差し伸べようとする。
まるで"花鶏で飲み食い自由"という提案が通ったかのようではないか。そんなの許していないし、許されるワケがない。しかし抵抗を示しても、佐野は私の両手を握りこんで丸め込もうとする。
「よろしくお願いします！」
「オウ！」
真司と佐野とは硬い握手を交わした。
結局、駄目だからと何度告げても聞き入れて貰うことは出来ず、佐野は笑顔で花鶏を出て行ったのである。
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りんごキャラメル@さくらぁ - 《追記》しかしそんな馬鹿なトコがかわいくて好きです。 (5月19日 22時) (
レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - 多数決のシーン、好きです…(笑) 後から浅倉さんがゆっくり手をあげるトコとか。夢主ちゃんもあげましたか…やっぱり、真司くんは馬鹿なんですよ(←酷) (5月19日 22時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年5月16日 18時
