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「あぁ叔母さん、俺もやりますよ」
「……いい！」
そんな中、キッチンに足を踏み入れたのは真司だった。叔母サンや東條君は勿論、優衣も私も手伝いをしている…自分以外が働いている中、何もやらずにいるのは心地よくなかったのだろう。
しかし叔母サンは唸るように、先程とは一転した声音でその申し出を退けた。
「いい！サトちゃんが二、三人分働いてくれるから、アンタなんか、要らない！」
「ぃ、要らないって…」
数ヶ月前には、叔母サンも真司のことを"礼儀正しいわ"、なんて持て囃していたのに、今となっては見る影もない。やっぱり日頃の行いというものは扱いを左右してくるんだな、と、少々身が引き締まる思いだ。
一方、流石の真司も、これにはいくらかショックを受けたらしい。気の毒だったので庇い建てしたい気持ちも湧いたが…彼が極度の不器用だったことを思い出し、目を逸らす。そういえば彼は、洗い物をしたら三分の一の確率で皿を割るような男だった。
『…よろしく、東條…君、』
「よろしく、えっと…Aちゃん。呼びづらいなら、東條でいいよ」
『ホント…？でも歳…』
「ううん。好きに、呼んで」
『…分かった』
聞いてみれば彼は私より四つ上だと言うのだが、許しが出たので東條と呼ばせて頂こう。叔母サンには相当気に入られていたから、それなりの期間、彼とは一緒に過ごすことになりそうだ。
マァ真司のことを考えれば東條の行動次第だとは思うが…話している限り、勝手に約束をすっぽかしたりするタイプの人間ではなさそうである。
「君とは、仲良くなりたいと思ってたんだ」
その言葉には、なんの疑問も抱かずに。
私は東條と並んで、花鶏の手伝いを続けていた。
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年4月26日 18時
