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母親の病室に着いてからというもの、ゆかりちゃんは母親の手を握り、そこから一歩も動かなかった。
「何が千羽鶴よ。十羽鶴じゃないの。」
母親のベッドに吊るされた、カラフルな数羽の鶴。到底千羽には届かないソレは、母親思いのゆかりちゃんが作ったものだろう。
嫌味ったらしいそのセリフ。でも、悪意があるようには思えなくて、私は何も言わずにゆかりちゃんを見詰めていた。
「……」
『……？』
ふと、北岡サンが後ろを向いて、そのまま病室を出て行った。そちらを見れば、何やら看護師に話しかけているらしい北岡サン。
この距離では内容は聞こえない。
……けれど、多分。
それを追及するのは野暮な気がして、視線を外した。そして、新たに視界に収まったのは由良サン。
同じく北岡サンを見ていたらしい彼と目が合って、気まずいながらも口を開く。
『…由良サンは』
「ハイ」
『どうして北岡サンの秘書をすることになったんですか』
「…キッカケは、先生が俺の弁護をしてくれたことです。でも、そのせいで先生は…取り返しのつかない損失を背負ってしまった」
『…取り返しのつかない、損失…？』
「……キッカケはそれです。でも、今は違います。恩とか責任とか関係なく、俺は先生の秘書でありたい。そう思えるだけの人なんです、先生は」
由良サンは言って、廊下で看護師と話す北岡サンを見た。
その瞳には、誇らしげな光が浮かんでいる。
…やっぱり、どこから見ても悪い人、なんていうのは、そうそう居ないのだな、と思う。
誰かしらがその人のいい所に気付いているものなのだろう。
少し前、散々喧嘩を売った身としては少しむず痒いけれど。
未だ母親の手を握って話さないゆかりちゃんの前にころんと飴玉を転がせば、彼女は驚いたように、嬉しそうに顔を上げた。
『お母さん、きっと治るよ』
「……」
『…ん？』
女の子が少し口を動かしたように見えたので、顔を近付ける。
半信半疑だったけれど、その子はしっかり言葉を口にしてくれた。
「おねえさんも、ありがとう」
その言葉に少し泣きそうになったのは、ココだけの話。
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みーちゃん - 龍騎本当大好きなので本編沿いの小説がでてくれてうれしいです！これからも頑張ってください！応援してます！小説を書いていないので大変さは分かりませんがファイトです！ (2022年10月25日 19時) (
レス) id: ee873f9c2a (このIDを非表示/違反報告)
ますこ - 龍騎、大好きなので楽しんで読ませて頂いてます！これからの更新も楽しみにしてます！ (2022年10月17日 20時) (レス) id: 0698efded3 (このIDを非表示/違反報告)
okaka - 今、ちょうど龍騎を見ているのでとても楽しく読んでいます。この作品でとても癒されています！大好きです！！ (2022年10月16日 21時) (レス) id: 87b1e34c00 (このIDを非表示/違反報告)
いとこんにゃく(プロフ) - 好きすぎて一気見しちゃいました…ほんとに大好きな作品です；；これからも応援してます…！ (2022年10月16日 5時) (レス) id: ebebe27350 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2022年10月9日 22時
