ＯＮＬＹ［HS］ (ページ19)

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Aはいつもニコニコして誰よりも一生懸命練習している姿が印象的だった。
男の子にしては長い髪を汗に濡らしながら必死に周りに食らいつこうとしている姿にいつも、自分も頑張ろうと思えた。
特にダンスに関しては妥協という言葉を教えてあげたくなるほど練習に打ち込み、体を壊すのではないかと何度心配になったか分からない。

そんなAが女の子だと知ったのはほんの些細なきっかけだった。
可愛らしい子だとは思っていたけれど、何も考えずに更衣室を開けてびっくり。
そこで悠々と着替えをしていたのは紛れもない女の子で。
逆に今までどうやって着替えてきたのさ、と問いたくなった。

韓国語がほとんど理解できないAを連れてPDさんのところに行き、彼女が女の子だったというと、彼は驚いた顔をしてすぐに眉間にシワを寄せた。
わかっている。ボーイズグループを作りたい気持ちと、彼女の才能を失いたくない気持ち。
PDさんは「しばらくの間は黙っていてくれ」とだけ伝えて、戻るように指示した。

宿舎に戻り、真っ先にナムジュンのところへ向かった。

HS「ナムジュナ、話がある」

NM「何だ？」

韓国語が分からないAと話すときは、いつもナムジュンに通訳してもらっていた。
普段もAのサポートをよくしている姿を見かけるので、彼には話しておかなければと思った。

HS「Aは、女の子だった」

NM「え？」

HS「事務所からはまだ言わないようにって言われてるけど、お前には言っておきたくて。」

NM「Aは今…」

HS「向こうにいると思うよ」

ナムジュンはすぐに立ち上がって、Aを呼んで部屋へ招き入れると、扉を閉めた。