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目覚まし時計と体調【うらたぬき】 ページ8

「ケホッ……ゔぇっ、じにぞ……」

合唱コンも終わり、見事に最優秀賞を取った打ち上げ後の翌日。
私は咳に悩まされていた。
うーん、やっぱ打ち上げで大量に叫びまくった後に雨に降られたからかな。
しかしまぁ、こんなにわかりやすい風邪を引くなんて何時ぶりだろうか。
ぼんやりとした感覚にズキズキと痛みを主張する頭。
自分でもわかる程に熱い体。

というか、月曜日じゃん。アラーム鳴るんじゃないか?という疑問に悩まされる。
頭では分かっているんだけど動く気力はないし、とは言えアラームが鳴れば頭痛は悪化する一方だろう。
動かなきゃ行けないけど動きたくない、そんな感情の狭間に居れば、携帯から優しい声がする。

「A〜……?」

あのけたたましい程の目覚ましの代わりに聞こえたのは不安そうな柔らかい声。

「ぁ"、ゔぅん、……なにー?」

出来るだけ喉を酷使しないようにと痰が絡まないことを意識しながら話す。
目覚ましは不安そうに「大丈夫?」と問いかけてくる。お前には私が大丈夫なように見えるか?

「と、とりあえず、!」

おれのこと、寄せて!とやけに困惑した声で言うから力がない手で携帯を引き寄せて、枕元に置く。

「か、風邪……?」
「わからん。まぁ、そうなんじゃない?」

私に自分が風邪かなんて分かるか。分かんねぇよ。
そんなことを思いながら学校に連絡しなきゃなぁ、と他人事のように考える。

「し、死なないよね……っ!?」
「殺すな。私は誠実な彼氏作るまでは死なねぇから」
「じゃあ不老不死になれるね」
「ふざけてんのか」

急にこいつふざけてくんじゃん。
お陰でなんか喉痛いの和らいだんだけど。

「……お母さんいるの?」
「うん、いるよ。俺がメモ機能に風邪引いたって残しておくから寝ていいよ」

ぼんやりと聞こえる声。
寝ていいよ、なんて言った頃にはとっくのとうに私の意識は半分夢の中。
おやすみ、と囁くような声をバックに私はゆっくりと夢の中へと落ちていった。



「よし、坂田、学校に連絡して。センラはお粥作って、まーしぃは冷えピタ用意して。俺はお母さんに言ってくるから」

カメラと夢の中【志麻】→←迷惑メールと彼氏【センラ】



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ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2021年6月22日 16時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - ヒロさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらって嬉しいです〜!更新頑張りますね〜! (2019年10月28日 7時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ(プロフ) - 更新頑張ってください!とっても続きが楽しみです!敬語苦手だから許してくれてよかった! (2019年10月28日 1時) (レス) id: 7769e45292 (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - おひさまさん» コメントありがとうございます!そう言って頂いて嬉しいです〜!(いえいえ、むしろそっちの方が楽ですので…!) (2019年10月28日 1時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
おひさま(プロフ) - おぉ!これは、続きが楽しみだ〜!(馴れ馴れしくてすみません) (2019年10月28日 0時) (レス) id: 7769e45292 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:凪桜 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年10月25日 23時

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