＊ ページ22
Side,うらた
「へぇ、うらたさん部屋綺麗だね」
ふわり、柔らかい笑顔を浮かべるAは可愛らしくて、そのあどけなさがこれからこんな人に罵倒されるんだ、なんて思う。
「……よし、今から10分間ね」
携帯をいじって、タイマーをセットしたAは俺の肩に触れて、ベッドへ押し倒した。
綺麗な藍色の瞳が俺を見下すように蔑んだ視線を向ける。
「っふは、罵るってなにすればいい？」
「……わか、らない」
Aはその言葉を聞いて俺の耳に顔を近付けた。
間近で吐息が聞こえて、顔の横に置かれた手が距離感をより感じさせる。
「そんな事も考えないで、提案したの？ あは……最悪」
「ｯひ、」
クスクスと可憐な笑い声が耳に響いて、低くなった声が脳を支配した。
背筋がぞくっとして思わず変な声が出る。
「っふ、君が言ったのに、……感じてんの？」
冷たい氷みたいな声が脳内に響き渡って思わず目の前の彼女に抱きつく。
「ｯは、ふ、ごめんな……っさい、」
「んー？ 私は感じてるかって聞いてんの。謝罪なんか求めてないから」
早く話して？そう言いたげな視線を寄越すと彼女は首に回した手を解いて、俺の耳を片方塞いだ。
「はいかいいえ、そんくらい答えろよ」
低い、吐息が混ざった声。
吐息は耳を塞がれている所為でやけに脳に響く。
解かれたはずの手をもう一度彼女の首に回す。
「かんじた、から、おねがい……、キス、して」
首に回した手を引き寄せて、出来るだけ甘えたような声で問い掛ける。
ねぇ、お願い。熱に浮かされた頭で懇願する。
「……」
彼女は、何も言わない。
いいかだめか、だけなのに。
それでも、彼女は顔をこちらへ近付ける。
紅い唇が、端麗な顔立ちが視界へと広がっていく。
あまり慣れない感覚にぎゅ、と目を固く閉じてその感覚を待つ。
「…………ぁ、」
小さな声が、耳に届いた。
ピピピ、と機械音が部屋中に木霊する。
10分経ったら、おしまい。
その言葉が機械音と共に脳に響く。
「あれ、おしまいだ。思った以上に10分って早いんですね」
ふわり、さっきの面影が一ミリもない笑顔を浮かべた彼女は自分の首に回された、俺の手をゆっくりと撫でた。
「志麻さんに、怒られますよ？」
「……でも、それでも、一回だけ、」
キスして。
そう口にするとAは呆れたようにため息をついた。
そのまま俺の手を掴んで、恋人繋ぎにしたまま押し倒して、キスをした。
「〜〜っ！」
「終わりだね」
静かに笑い君は先に部屋を出ていった。
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noppi(プロフ) - 続きも見たいです(*^▽^*) (2022年4月20日 22時) (
レス) @page37 id: a056ba0898 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです！ここで終わってしまうのが悲しいですが、わかりました(´;ω;｀) (2021年4月20日 19時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - りーゆーさん» ハロウィン折角だから書こうかな〜と！こちらこそありがとうございます！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
りーゆー - 凪桜さん» ハ、ハロウィンだ〜〜！！ありがとうございますっ！！！！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: fedfe469a7 (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - らんまさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです〜！！ (2019年10月16日 22時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
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