違った道の隻眼女6【坂田銀時】

第293話 ページ42

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貴｢……｣







皆がいつもと変わらず落ち着いて見えていても





拙者には違く感じる







万斉｢A、｣





貴｢…なんだ｣








刀から血をはらい





流れるように鞘に戻すその手が







万斉｢…震えているでござるな｣





貴｢…｣








拙者らが襲ったこの船に本物はおらぬ






影武者もよくできたものだ







貴｢…あいつのところだ｣





万斉｢A、｣





貴｢伊賀に向かうぞ万斉｣







Aにとって将軍の首は神威殿とのお遊び






万斉｢…死合うのか｣





貴｢…｣








今までずっと見守って来た





1番近くで力になりたいと





支えてきた







万斉｢…A、｣





貴｢柄にもねぇ…｣





万斉｢…だが…｣









何故か募る不安に





自分への憤りが増していく






貴｢……お前にそんな顔されると、私は…｣





万斉｢、｣








そうか…。






この期に及んで拙者が不安を見せては


お前を困らせるだけでござるな…







万斉｢すまぬ｣






そう踵を返せば



数歩たってAも歩み始めた






貴｢万斉｣




万斉｢なんでござるか｣




貴｢片付いたら


一緒に……いや、なんでもねぇ｣





万斉｢構わぬよ｣





貴｢え、？｣





万斉｢晩酌にござろう


構わぬ。付き合うでござる｣






そう返せば安心したかのように微笑んだ





貴｢楽しみだな。｣


万斉｢あぁ。｣

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