第277話 ページ24
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震えたAの手が探るように宙を泳ぐ
もう一歩後ろにいる俺にその手は届かない
でも俺はそれを見守れるような人間じゃない
1歩近づきそっとその手を握る
神威「.......大丈夫。」
聞こえないような声でそういえば
細く長い指に力が篭もった
相変わらず冷たい手
だけどそれは俺の言葉ではなく
「愛している。たった1人の娘であるお前を」
実父の言葉。
「愛してるが故、立派な人間に育てようと厳しくした
しかし私のやり方は間違っていた.......」
貴「.............」
「許してもらおうとは思っていない
ずっと憎んでくれて構わない
ただ.......できることなら
もう一度、私を呼んでくれないか」
貴「っ、」
神威「....大丈夫。」
「父上なんて堅苦しい言い方はいい
お前が呼んでくれるなら
ずっと言って欲しかった武家も両家も関係ない
ただの父として.......」
貴「..................」
父親と再会してから一度も声を出さないA
深い事情は分からないけど
きっと俺があの人を母さんと呼べないくらいに
Aが受けた傷は深いのだろう
貴「っ、」
神威「.......」
握った手から伝わる緊張と恐怖と大きい不安
そっと手を離し後ろに下がる
離れる手に最期まで指を絡めたAの弱さが
震える喉に言葉を詰まらせる
一度振り返った深緑に
にっこり笑う俺が映る
もう一度
神威「大丈夫。」
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たかすぎりた(プロフ) - 高杉銀時さん» 大変お待たせしてしまいました。温かいお言葉が支えになりました。ありがとうございます。これからまた頑張っていきます! (2022年3月10日 20時) (レス) id: 795a11b87e (このIDを非表示/違反報告)
たかすぎりた(プロフ) - 紫糸。さん» 長すぎる休息になってしまいましたが、支えになりました。どうかお楽しみください (2022年3月10日 20時) (レス) id: 795a11b87e (このIDを非表示/違反報告)
たかすぎりた(プロフ) - 空麦さん» どの作品も応援していただきありがとうございます。いつも癒しになっています。大変長らくお待たせしてしまいましたが、どうかお楽しみください (2022年3月10日 20時) (レス) id: 795a11b87e (このIDを非表示/違反報告)
たかすぎりた(プロフ) - 鈴音さん» 優しいお言葉に本当癒されました。大変長らくお待たせしてしまいましたが、どうかお楽しみください! (2022年3月10日 19時) (レス) id: 795a11b87e (このIDを非表示/違反報告)
たかすぎりた(プロフ) - 紅桜 赤華さん» 全く同じでした。でも皆さんの温かいコメントでようやく戻ることができました。これからもよろしくお願いします! (2022年3月10日 19時) (レス) id: 795a11b87e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:高杉りた x他1人 | 作成日時:2019年4月29日 15時