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第116話 ページ20









誰かさんを息抜きに宴に参加させるには




俺が鬼兵隊の負傷兵を見てやるしかなかった







だがあの小さい背中は冷たい廊下で一人、月を見上げていた







憂い儚さを帯びるその背中を



不安と苦しみを背負ったその背中を




抱きしめてやりたかった




忘れさせてやりたかった







でも今それをすれば






お前は泣くんだろ…………







貴「ん、……なんだ、突っ立って。」





銀時「お前こそこんなとこで何してる」





貴「見りゃ分かんだろ。」





銀時「月見ながら酒とは大人になったねぇ。身長以外は」







微笑を浮かべるだけで言い返さないAの横に腰を下ろす






貴「どこに行ってたんだ」





銀時「んー?」







盃を持つAの手を掴み一気に酒を飲み干す







銀時「まぁ、色々。」





貴「入れろ」





銀時「へいへい」







この女に酌されたらさぞかしうまい酒になんだろう




んなこと考えながら満タンになった盃からAを見やる







貴「……………………」







月光が照らす髪は艶めいて深い色を映す




月見してるはずなのに



時折月から眼をそらすように伏せられる長い睫毛は妖しく光る







貴「…………なァ…銀時ィ…………………」






銀時「なに」





貴「……あの人が連れていかれた夜もこんな満月だったなァ」






銀時「…………そうだな。」






貴「………なァ……銀と……………、何しやがんだ」






銀時「………………別に…」








サラリと他より長い横髪を耳に掛け綺麗な顔を拝む






そのまま耳の裏に指先を滑らせ首筋を降り



鎖骨に降り立つ







貴「………………なんだ」






銀時「……………………」








殴られるの覚悟で




そっと左胸に手をあてる








貴「っ、」





銀時「少し我慢して」








目を瞑り、手のひらに神経を集中させれば




僅かな振動が皮膚を叩いた








貴「…………………生きてるか…」





銀時「ちゃんと。」





貴「…………そうかい」








今ならこいつの気持ちがわかる




この音、眠気がすらァ………………。







銀時「………………」







着物の中で腕を組み細い太ももの上に頭を預ける






貴「……………」






くしゃりと耳元でする音はAが俺の髪を撫でた音






.






.









「「おやすみ」」

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まっちゃむーしゅ(プロフ) - はっはっはっは!私的名場面! (2019年3月16日 21時) (レス) id: d836fbb346 (このIDを非表示/違反報告)
麦ちゃん - 続編、誠におめでとうございます。更新いつも楽しみに、待っております。これからも、頑張ってください。応援しております! (2019年3月12日 23時) (レス) id: ad939e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
Night(プロフ) - 続々編おめでとうございます!!更新スピードが速いので読んでて嬉しいです!頑張って下さい! (2019年3月12日 22時) (レス) id: a39d20f6cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤砂晋助 x他2人 | 作成日時:2019年3月12日 21時

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