色を知らないお前に見せたい色、戸惑う色【高杉晋助】

第18話 ページ18

貴方side







脱衣所に入り着替えの着物と濡れた着物を取り替える






貴「……………」







高杉「……そこにいるのか」







貴「あ…はい…。ごめんなさいすぐ出ます」







高杉「A。」







貴「はい」







高杉「……背中…、流してくれねぇか」






貴「私で良ければ」









普通の女性ならあたふたするのだろうけど





遊女の私には慣れたことだった






可愛くない反応に高杉様はどう思っていらっしゃるだろう






この部屋に私しかいないことが申し訳なかった…








貴「失礼します」







高杉「…………」









長い脚を折り曲げその膝に肘をかける高杉様






頭からかぶる水のせいか泣いているように見える………









貴「お流ししますね」






高杉「すまねぇな………」






貴「いえいえ」









細くも男らしくしっかりと筋肉のついた綺麗な背中…




いったいどれだけのものを背負っているのか…









貴「高杉様。」






高杉「……なんだ」






貴「あまり無理しないでください………


なんて私には言えません。」







高杉「………」






貴「貴方様が背負っているものは私などには到底分からないことです


そんな私が貴方様の生き方にしたあり方にどうこう言える資格などありませぬ」







高杉「…………」








貴「………だけど分かろうとしています。


知りたいと思っています。




だから何かあった時は私でよければ

こうしてお背中をお流しすることくらいはできますよ」







高杉「……………」







貴「それに…高杉様の欲を受け止めることだってできます


仕事、関係なしに………。」








高杉「……………」








貴「少しでも高杉様が癒やされれば………」







私にはそれくらいしかできませんから……







高杉「……ﾌｯ…。…そんな弱く見えるか…俺ァ」







貴「そういうわけでは………」







高杉「お前がそう言ってくれるだけで充分だ」







貴「高杉様……………」







高杉「夜中に悪かったな。背中、気持ちよかったぜ」






有無を言わせない言葉…






まだ私は貴方様のこと、全然知らないのだと実感する…






弱さを知った分、強がられてしまった





強さを知った分、胸が痛かった…







遊女ではない今なら






私はこの思いに気づいていいのでしょうか…





そばで貴方様を支えたいと思うのはだめなのでしょうか…

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