色を知らないお前に見せたい色、戸惑う色【高杉晋助】

第10話 ページ10

貴方side









高杉「こんな眼が見たいとは物好きだな」







そう言い指先でそっと自身の目元をなぞる高杉様








高杉「もっと綺麗な色にしろよ」






貴「…………」






高杉「始めてお前を見た時、お前は空を見上げてた。


空はな、昼間は青つって綺麗な色だぜ」







貴「高杉様の緑が見たいです」







高杉「濁った色なんざ見てもしょうがねーだろ


どうせ見るならお前の綺麗な緑を見たらいい。

お前の眼は俺が見てきた中で一番綺麗な色してらァ」







貴「どうして高杉様はご自身を否定されるのですか」







高杉「否定なんかしてねぇよ。


ただ…………………」








貴「ただ……………？」








高杉「………いや。なんでもねぇ…。



まぁ、好きにすればいいさ。いずれ全色見せてやるから」








着物の中で腕を組みスタスタと先を歩くその背中は




さっき言ってくれなかった思いを物語っていた。







無意識に出たその思い……。







己が憎い、と…………。

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