脆くて甘くて苦くて

35 ページ35

・・









向井「 サービスエリア着いたで〜？ 」






康二くんが車を走らせてくれてから早2時間。
やっとこさ中間地点を超えたらしくサービスエリアに車を停める康二くん。

隣の蓮くんはというと爆睡しています。






「 お水買ってきていい？ 」


向井「 うん、ってAちゃん以外みんな寝てるやん(笑)」


「 ふふ、ほんとだ(笑)」


「 康二くんは何かいる？？ 」


向井「 俺じゃあなんか温かいもんほしい！ 」


「 探してみるね(笑)」





財布とスマホだけ持ち、前のシートの二人を起こさないようにして車から降りる。

まさか蓮くんがいるなんて思ってなかったけど、さっきふっかとの約束を守る破っちゃったことの方が罪悪感が凄くて、後で謝りたいな、なんて。






「 温かいもの、温かいもの、」





康二くん、何なら喜んでくれるんだろ。
肉まんとか？？……そうだな、肉まんいいな。






「 すみません、肉まんひとつ、」


深澤「 あ、２つください 」


「 え？ 」





隣を見るとさっきまで康二くんの隣で寝てたはずのふっか。
………ん？ なんで？





深澤「 はい、じゃあ丁度で 」


深澤「 ありがとうございます〜〜 」





私の代わりにお金を払って肉まん2つを受け取ったふっかに手を引かれる。
え、待って待ってふっか。





「 ふっか？ 」


「 そっち康二くんの車とは反対方向……」


深澤「 まだ戻んなくていい？ 」


「 え？ 」


深澤「 車戻ったらAめめの方行くから、」





なんて言うふっかに連れてこられたのは売店の近くに並んでいるベンチ。

ふっかの隣に腰掛けると肉まんを渡される。





「 …あ、この肉まん康二くんのだから 」


深澤「 ええ〜康二の？ 」


「 うん、温かいもの食べたかったって 」







そう言うとふっかが持ってた方の肉まんをパカッと割られて、







深澤「 じゃあこっち半分あげる 」





なんて声がした。




「 ふっか半分でいいの？ 」


深澤「 うん、なんなら関節キスでも良かったけど 」


「 ………いい、これで貰う 」


深澤「 ふは、冗談冗談 」






ふっかから渡された肉まんをパクッと頬張るとじーっと隣から視線を感じて、








「 ……食べてるとこ見ないでよ 」


深澤「 かあいい(笑)」








優しい顔でそんな事を言ってくるふっかはしばらくの間車に戻ろうとしなかった。









・・

36→←34. side F

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す