脆くて甘くて苦くて【IV】 (ページ13)

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「 ……………やだ、私さっき岩本さんと、」

そんな声が聞こえてくるっと俺の方に身体を向かすと一瞬合った目を逸らして下俯くから、

深澤「俺の目見て言ってみ？どした？」

「や、」

深澤「 A」

Aの頬を両手で挟んでこっちを見さして目線を合わせる。
Aの瞳はやっぱりユラユラと揺れてた。

「 ………………軽い女だと思ったでしょ、」

深澤「ん？」

「ついこの前までふっかの事好きだった女がもう別の人とキスしてて、」

深澤「 …でもお前は拒否してたじゃん」

そう言うとAの瞳からポロッと涙が流れた

「同情とか余計要らない」

深澤「同情って」

「莉子さんと離れたから？」

深澤「 …は？お前何言ってんの？」

「莉子さんにさっき言われた、辰哉くんとはもう全部終わったって」

全部終わったのはもう、とっくの前だけど

「莉子さんが居なくなって寂しくなったから、？
私と話に来たの、？」

「もう、ふっかのこと分かんないよ」

「わかりたくない、しんどい」

次々とAの口から出てくる言葉は俺を傷つけるには十分だけど、でも、

深澤「ちげーよ、莉子さんと離れたからじゃない」

深澤「俺は、Aがすき」

深澤「遅くなって、ほんとごめん」

ぎゅうっと抱きしめてAの肩に顔填めて、今の顔は絶対見られたくないけど

「 …………信じれない」

深澤「なら、どうやったら信じてくれんの？」

ゆっくりとこちらに顔を向けたAの目はさっきよりもずっとずっとうるうる揺れてて

「私は、ふっかの事すきじゃない」

震えた声でそう言うから、なあ、じゃあなんでそんな辛そうなの？

なんでそんな泣きそうなの？

深澤「こっち向いて」
「俺の目見ながらもっかい言って」

ゆっくりと重なった視線からは俺のことがまだすきって言ってるように見えんだけど、ちがう？A

「私は、ふっかのこと、」

「もうふっかのこと、」

「 ………………好きじゃない」

誰がそんな涙溜めて唇噛みながら言うやつのこと信じると思ってんの？

親指でAの涙を取るとすぐに俯くから顎を上げた。

「ふ、っか、」

深澤「俺はずっと話したかったし会いたかったよ」
「遅くなってごめん、A」

深澤「 Aが好きだよ」

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