" The Greatest " second

ろくじゅーいち ページ12

西武は4位でシーズンを終えた

就活が始まるタイミングにかぶってしまい9月は試合がほとんど観れていなかった


森くんは捕手としても試合に出られて、まあまあ満足しているのかなという風に見える


実際のところ野球の話はしないから何とも言えない


AクラスがCSをやっている最中、森くんは秋季キャンプ

今日はオフみたいで軽く練習してから会おうということだったんだけど…






《大丈夫なん？》



「…う、ん……貧血だから風邪と違って、ね……」


疲れが溜まっていたのか、ストレスか…久々に貧血になってしまった

タイミング…森くんに会いたかったな……



「寝てれば、平気だから夜なら、大丈夫かも……」



《無理せんでええから》



「………うん、ごめんね」


森くんと話しているのもしんどくて、動悸がひどい



電話をきって、はぁーーーなんて大きくため息を吐けば心にぽかっと穴が空いた気分


ゼミが夜まであって終電ギリギリになったり、バイトが定時であがれなかったり

もう疲れた、、大人しく寝る…………



私の場合寝ればある程度よくなる





目を瞑って









目を開ければ





どのくらい寝ていたのだろうと枕元に置いていたスマホを確認する


2時間くらいしか経っていなかった


いくらか楽になったのか、起き上がって冷蔵庫に向かう

多少もたつくけどめまいもひどくはない、ただ疲れていただけかな





「起き上がって大丈夫なん？」




「………ぇ???!」




驚きすぎて息を呑んだ



「………練習は？」




「あお心配やし、電話からすぐ来た」




「ごめんね、嬉しいありがとう」




「ええから」


私の顔色を伺うように頬に触れられて貧血なのに熱がでそう……



「なに飲むん？持ってくから寝てて」




「え、っと…水で」




「そーや、これ買ってきた」



キッチンに無造作に置かれていたパックの飲み物


大きく鉄分！と書かれていた

鉄分のこういう系の飲み物苦手なんだよなあ……



「温いと不味そうやな、とりあえず水な」



早くベッドに戻れとばかりにほぼ抱えられながらベッドに寝かされた


眠気とか具合の悪さはもうほとんどなくてせっせと森くんが水を淹れてくれて氷まで入れてくれて

そんな姿を見るのは初めてだ

　

本当森くんは優しい……




「なににやにやしてんー？」



「ふふ、森くんに看病してもらえる日がくるなんてね」









　

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