【浦島坂田船】握手会の記憶

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あれから1週間、

彼らが病室に来ることはなくなった。

つまらない毎日だな、なんて考えていると

コンコンというノック音のあとにガチャ、とドアが開いた。

まさか…なんて思ったが出てきたのは看護師さんだった。


看｢あなたに会いたい人が来てるわよ！

きっと前のお友達ね…会ってあげて。

病院裏で待ってたわ。｣


『前の、お友達…』


前というのは記憶を失う前の事だろう。

そうか、私には友達がいたのか。


『わかりました、会ってきます。』



ベットをおり、エレベーターで1階へ向かう。

病院裏だったよね。

あそこは暗くてじめじめしていてあまり好きではないが、仕方ない。


涼しい病院を出てむわっとした外の病院裏へ向かう。


そこには4人の同い年くらいの女の子がいた。


『あなた達が、私の友達…？』


尋ねると、女の子のうちの1人が私の前に来た。

私を探るような目で見たような気がしたが、すぐに笑顔になった。


｢そうだよ！Aちゃん！久しぶり！｣


私の名前知ってるんだ。

そらそうか、お友達だもんね。


｢ねえねえ、今から遊ばない？｣

遊ぶ…？


『遊ぶ？って？私、外出は届け出を出さないと…』


私は記憶を失ってしまっている。

変な人に捕まるといけないから、と

看護師さんに外出時は誰かと一緒に行くこと、
届け出を出すことを約束されている。

遊ぶなんて知らなかったから私は届け出を出していない。


｢いいから。来てね？｣

女の子は私の腕を強く引っ張る。

どこか顔が怒っているような気がした。

私を引きずりながら女の子は無言でどこかへ向かう。

その後ろに残りの3人の女の子が笑いながら喋っているが、会話内容は聞き取れなかった。


にしても随分遠いところなのか、なかなかの時間がかかっていた。

そういえば行き場所はどこなのだろうか。


『ねえ！どこで遊ぶの？』


前を向いて目を合わせてくれないその子に話しかける。

女の子はゆっくり振り返り、先程の笑顔を向ける。

｢大丈夫！すごく楽しいとこ！絶対気に入るよー！
サプライズで今は内緒ね！｣


そう言ってまた歩き出す。

サプライズ、か。楽しみ…

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