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猛さんに連れられ、ふらふら歩く彼の後ろに、直樹くんと並んで続く。近所の公園までやって来ると、漸く猛さんは口を開いた。
「アイツの話聞いてやれよってのは耳タコだ。勘弁してくれ」
相変わらず猛さんは難破くんに向き合おうとはしてくれない。彼は先程「他人ん家の揉め事がそんなに面白えか」とか言ってたけど、こっちは面白くないから来てるんですがねえ。こんな不毛すぎる兄弟喧嘩、さっさと終わらせてもらわないと。親友がずっと沈んだままじゃこっちも気分悪いんですよ。
「見てらんねえんだよ。アンタの尻拭いさせられてる難破が」
家族全員がヤンキーで、幼少期から否応なく暴力の世界で育った。だけど、そんな中にも輝くものを見つけたんだと、直樹くんが言う。“裏切られた”っていう一面だけを見て突っぱねて、他の一面を…その“裏切る”という行為に出なければはらなくなった理由を、この人はなんで分かろうとしないの。
「アンタ、兄貴のくせになんでそれを喜んでやれねえんだよ！」
「好きなものを追いかけるのは悪いことなんでしょうか…」
あの時みたく、目見開いて大声出す勇気は流石になかったけど。
どうにか彼を説得して、またいつもみたいな難破家に戻ってほしくて、おずおずと声を絞り出した。
…でも。
「グリとグラを仕留めきれなかったらしいな、剛は。アイツもとうとう焼きが回ったな」
いい気味だ、とでも言わんばかりに笑うので、握りしめた拳がふるふると震え始めた。
この期に及んでまだ喧嘩の話なんて。どんなに説得されても話は聞きませんってアピールでもしたいのか、その本心は定かじゃないけど。なんにせよ腹が立つのには変わりない。
頭にどんどん血が上って、小さかった手の震えは大きく大きくなって、やがて抑えきれなくなっていく。
気づけばわたしは直樹くんを追い越して、思いっきり猛さんの頬を張り飛ばしていた。
「最低……！難破くんが塞ぎ込む理由が何となく分かった気がします……今の貴方に彼の兄を名乗る資格ありませんよ」
不意打ちくらった猛さんがふらりとよろけて、その場に尻もちをつく。やってしまったと我に返ったわたしが固まっていると、ジンジンと痛む手をぐいと引かれた。
「難破のやつもバカで単純だったら良かったのにな、アンタみたいによ」
きっぱりと吐き捨てた直樹くんに手を引かれ、踵を返す。取り残された猛さんは、ただ呆然として地面を見つめていた。
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リュウ - 続編楽しみに待ってます!! (12月19日 11時) (
レス) @page33 id: 6792b0e39f (このIDを非表示/違反報告)
mie - 本当に面白かったです！毎日更新を楽しみに、わくわくしながら最後まで読ませて頂きました！続編も楽しみにしています！応援しています◎ (12月19日 1時) (レス) @page33 id: b7654c3b50 (このIDを非表示/違反報告)
わーい(プロフ) - 初めまして、いつも素敵なお話をありがとうございます！そして続編…とても楽しみにしていた作品なのですごく嬉しいです！無理せずお身体に気をつけてくださいね(><) (12月18日 13時) (レス) id: 5c007e6399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年12月4日 9時
