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「これ持っててくれ」




上着を脱いでタンクトップ姿になる大丸くん。どうやら本気らしい。言われるがまま渡される上着を受け取った水野さんは、困ったように眉を下げた。




「今からでも遅くない……逃げて大ちゃん」

「水野。中坊ん時、ずっとお前が好きだった。夏祭りの日に告るつもりだったんだ」

「…………え?」




真っ直ぐに安藤を睨みつけたまま、大丸くんが言う。水野さんは突然の告白に困惑の色をうつしている。

ああは言ったけど、わたしには分かる。きっと彼は、今も水野さんが好きなんだ。だからこそ他の人よりも放っておけないし、もうこれ以上彼女が落ち込む姿を見たくないのだ。


ぐっぐっと身体を伸ばした大丸くんが向き合う先で、安藤が眼光をギラギラとあやしく光らせた。




「いくぞワレェ!!」

「うらぁぁああっ!!」




ふたりの咆哮にボルテージは一気に引き上がり、集まった不良たちがやんややんやと騒ぎ立つ。そして、容赦なく殴り合うふたりを前に、幸男さんは漸っとその顔に焦りの表情を浮かべはじめた。




「なんで……安藤と大丸が」

「お兄ちゃん、まだ騙されてることに気づいてないの?お兄ちゃんの借金のせいで全然関係ない大ちゃんが喧嘩してんのに!」




切羽詰まったように訴えかける妹の姿に、とうとうマズいと悟ったのだろう。「え…?!」と目をまるくさせた幸男さんが、訝しげに眉を顰めて安藤を見るけれど、今更気づいたとてもう遅い。

戦況は大丸くんが圧倒的に劣勢。千葉では怪力ゴリラと名高い大丸くんのパンチはいとも簡単に捌かれ、大きな身体が易々と持ち上げられたと思うと、勢いよく地面に叩きつけられた。




「うう………」




千鳥商業では先輩たちが手に負えないほど強かった大丸くんだけど、西日本最強を誇る安藤相手では手も足も出ていない。それでも彼は、痛む身体を引き摺って何度も起き上がった。


大丸くんが一方的に殴られている状況ではあったけど、何度だって諦めずに猛攻を続けた結果、重い一撃が安藤の顔面に決まり、吹っ飛ばされた安藤はやっと地面に転がった。








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リュウ - 毎日更新ありがとうございます。毎日チェックしてます!これからも更新お願いします! (11月28日 2時) (レス) @page8 id: b6e7a94813 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まめこ。 | 作成日時:2023年11月26日 11時

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