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━━━━━━━━━━……


「…………か、……………………な」


眠りについてからどれくらい経っただろうか。
ぼんやりと遠くに聞こえる声に、Aは薄らと目を開けた。そこには、


「高菜!」

「ぴぎゃっ?!」


━━━━━━━ゴンッ!


ドアップで迫っていたまん丸い瞳に、思わず喉の奥から変な声が出た。そして慌てて飛び退くと、ずるっと手を滑らせ、頭から地面にひっくり返る始末である。部屋に響いた鈍い音に、Aの顔を覗き込んでいた張本人…棘が心配そうに眉を下げた。


「すじこ?」

「おかか…………」


思いっきり地面に叩きつけられた後頭部を擦りながら涙目で起き上がると、医務室のベッドで寝ていたんだと、やっと状況を把握した。そしてひとつひとつ思い返すように、今までの出来事を遡っていく。


(えー…………確か交流会で京都の人らが虎杖くん殺すとか言い出して、棘と呪霊狩りしてて、そしたら準1級呪霊出てきて、その後は…………)


その後は、特級呪霊の花御に襲われ、対戦した。
それを鮮明に思い出したAは、身体に巻きついていた布団を蹴飛ばして起き上がる。


「ぁ、ぁ……!虎杖くんと東堂さんは?!誰も死んでへん?!死人出てへん?!」

「しゃけしゃけ。ツナマヨ」

「そ、っか…………よかった」


どうやらみんな無事みたいだ。ほっとして胸を撫で下ろすと、棘は未だに床に座り込んだままのAを軽々と抱え上げた。そしてベッドに座らせ、自分もその隣に座る。


「ツナ」

「え」


何をするのかと思えば、棘はぱっと両手を広げた。
その意図を掴み損ねて暫く考えて、「あ、ぎゅうしたいんか」と察したAは、にこっと笑ってその腕の中に飛び込んだ。


「高菜〜」


すぐさまAをきつく抱きしめて、よく頑張りました〜とでも言いたげに頭を撫でてくる。嬉しくなったAも、彼の肩口にぐりぐりと頭を押し付けて笑った。









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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年2月26日 12時

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