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「加減はせんでええ、殺す気で突っ込め!」
Aが声の限り叫ぶと、龍はその指示のまま、真希と伏黒の攻撃を受けてよろめく花御に突っ込んだ。
「ぐ、っ…………」
素早くその背中から飛び降りたAは、思わずその場の木にもたれかかってしまった。傍から見れば隙だらけのこの状況。もちろん目の前の特級呪霊がその隙を見逃してくれるはずはなかった。
「A!」
「!」
真希の声で我に返る。振り向けば、花御が放った蔓の繭がすぐそこに迫っていた。今のAにそれを瞬時に避けられるほどの体力は残っていないし、花御に注意を引かれた龍が飛んで来てもきっと間に合わないだろう。破邪の法を張るためには手印を結ばなければならないし。真希も伏黒も自分のことで精一杯…だと思ったが、
━━━━━━ガキンッ!
来るはずの衝撃が目の前で弾かれる音がした。
恐る恐る目を開けると、咄嗟に手に取った遊雲でその攻撃を防いだ伏黒の後ろ姿が。
「先輩、無事ですか?!」
「私は大丈夫。ありがと………………ッ!」
二度と三節棍なんて使わせないでください、なんて言いながらAを振り返る伏黒は相変わらず口が悪い。ごめんごめんと笑ってみせたAだが、その直後、彼の腹部を見て言葉を失った。
「ふ、しぐろくん………それ………………」
「は?何言って…………」
Aの言葉に首を傾げながら視線を下に落とした伏黒は、恐るべきその光景に息を飲んだ。
だってそこには、
───────ナハッ、
不気味な植物が、伏黒の脇腹から伸びていた。
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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年2月26日 12時